勝みなみ(24=明治安田生命)が逆転で史上3人目の連覇を達成した。首位と3打差の3位から出て6バーディー、2ボギーの68と4つ伸ばし、通算3アンダー、285。首位で出た申ジエ(韓国)との接戦を制した。来季からの本格参戦に向け、12月の米ツアー最終予選会(QT)出場を申し込んだと明言。日本人初のメジャー優勝を飾った樋口久子、米ツアー6勝の畑岡奈紗に続く連覇は、世界基準の実力を持つ証明でもある。名実共に「日本一」の看板を引っ提げ、世界最高峰に挑むことになった。

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「迷わず行けよ、行けば分かるさ」。ラウンド中、何度も脳裏をよぎった有名なフレーズに後押しされ、勝は迷いなく振り切った。1つ後ろの最終組を回る、申ジエと首位で並んで迎えた17番パー4の第2打。残り160ヤードから2メートルにつけた。グリーンに着いてリーダーボードで首位タイと確認。「これを入れたらトップに立つ。絶対に入れる」。一段と迷いはなくなり、難ホールで価値あるバーディーを奪った。そのまま引き離して連覇達成。「めちゃくちゃうれしい。信じられない」と豪快に笑った。

この日朝、会場に向かう車内で、前日1日に亡くなったアントニオ猪木さんの引退試合の動画を見た。自身がプロレス好きで、猪木さんのファンの母久美さん(55)から勧められると、心をわしづかみされた。久美さんは「何回も見ていて目がうるうるしていた」と明かす。首位から出て、2位に6打差と圧勝した昨年とは違い、追いかける立場の今年。猪木さんについては詳しくなかったが、有名な詩「道」を知り「迷わず行けよ、行けば分かるさ」は「自分のことを言われている気がした」と、逆転優勝への気持ちを高めた。

7番から3連続バーディーを奪い、首位の申に追いついた。7番パー5では、2オンを狙いたくなる気持ちを抑え、刻んで第3打を1メートル足らずにつけて伸ばした。例年も高難度セッティングの日本一決定戦を制し「無理はしない」が、勝利への鉄則と知っていた。迷いはなかった。10番パー4でピンチを迎えたが「流れを切りたくなかった」と、ピンまで7メートルのカラーからパターで決めてパー。猪木さんの「ダーッ」のように右手を真上に突き上げた。

来季からの米ツアー参戦へ「9月中旬にQTを申し込んだ」と明かした。開幕前の誓いは「年末に米ツアーのQTを受ける」「国内メジャーを勝つ」、そして「やったことがない年間3勝」。今季2勝目を挙げても、日本一に再び立っても世界を見据え、目標を追い続けている。【高田文太】

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