ZOZOチャンピオンシップ(13~16日)で米国男子ツアーデビューを果たす河本力(22=フリー)が、開幕前日の12日、会場の千葉・習志野CCで最終調整を行った。

プロデビューの今季は2勝を挙げ、ドライバー平均飛距離326・41ヤードは1位。多くの米ツアー勢をも上回る、日本が世界に誇る“飛ばし屋”は、国内ツアー賞金ランキング6位の資格で出場権を得た。「今年デビューして、最大の目標だったので、すごくうれしい」と、声を弾ませた。

今大会の目標として、まず挙げたのが「毎日、どんな状況であっても3アンダーを出す」ということだ。昨年大会は優勝した松山英樹が15アンダー、2位のトリンゲール(米国)が10アンダーだった。「毎年の優勝スコアを見ても、毎日3アンダーで回って、12アンダーを出すと、きっと優勝争いに絡んでいると思う。もちろんトップ10に入りたい、優勝したいという気持ちはある。でも自分より格上の選手しかいないと思っているので、どれだけ自分ができるかを見たいという気持ちの方が強い」。高難度の米ツアーのセッティングで、どこまで通用するか知りたいという、好奇心が何よりも勝っているという。

過去2度日本で開催された今大会は、19年も昨年もギャラリーとして観戦に訪れた。特に昨年は、1学年下で、すでにアマチュア世界ランキング1位だった中島啓太、そのキャディーとして同期の石川航という、同じ日体大勢が参加した姿を見て「来年は出たいと思っていた。今年、選手として出場できて幸せ」と、思い入れの強い大会だ。

夢がある。「自分が世界の1位になるんだという、強い気持ちを持ってやっていこうと思っている」。夢に向かって現在は、思い描いた以上に順調に進んでいる実感がある。今季の出場権を懸けた昨年の予選会(QT)で失敗し、今季は当初、下部ツアーが主戦場となる予定だった。だが主催者推薦で出場した8月のレギュラーツアー、KBCオーガスタで初優勝。その後のレギュラーツアー出場権を得て、今月2日まで行われたバンテリン東海クラシックで2勝目を挙げた。

「賞金ランキング上位の資格で、この大会にも出させてもらえることになった。結果を出せば、次のステップ、上のステージにつながってくる」と、プロ1年目から結果を出し続けてきた自負があるからこそ胸を張って話した。計画を上方修正して、最終的な目標、世界ランキング1位に近づいている実感がある。「25歳までには絶対に、PGA(米男子ツアー)が主戦場になっている選手になっている」と、自らに言い聞かせるように話した。

そのPGAを主戦場とする、将来像への第1歩となる今大会。当然、胸の高鳴り、はやる気持ち、前のめりになる心が出てくることは以前から予想している。だからこそ最近は、日常生活から「車に乗っている時とか、エスカレーターで道を譲る」と、心に余裕を持つことを心掛けているという。

これまでは1学年上で、国内女子ツアー1勝の姉結の弟として、ゴルフファンからは認識されることが多かった。だが結が最近「力の弟と言われた」と明かした。これには力は「それはうれしいですけど、まだ姉の方が何十倍も認知度が高い。まだまだだと思っています。でも、ちょっとうれしいです」と、笑顔で話した。念願の米ツアーデビューを目前にしても、終始リラックスした様子が、万全の準備ができたことをうかがわせた。