渋野日向子(24=サントリー)が3アンダーの69、首位と3打差10位でスタートした。

1オーバーで迎えたインでスイッチが入った。グリーン横に約10人のちびっこファンがいた10番パー4で73ヤードを58度のウエッジでベタピンにつけ、イーブンに。「何年生?」と聞くと「5年生!」。思わず「かわいい」とつぶやくと、子どもたちは「かわいいって言ってくれた」と喜んだ。

笑顔にパワーをもらい、11、13番、そして423ヤードもある最終18番パー4で4メートルのスライスラインを沈め、左手でパターを掲げた。

ご機嫌な1日だった。前夜のサッカーW杯のドイツ戦は見損ねた。時差ぼけに勝てず、キックオフ1時間前の午後9時に寝落ち。朝起きて、日本代表の金星を知ると「マジで?」と驚き、急いでテレビをつけて、ダイジェストのニュースをむさぼるように見た。

「見れば良かったです。いろんなスポーツの日本代表があって、私は特に団体戦が好きだし、実家でも代表戦があったら、よく見ます。すごく勇気をもらいます」

日本代表がモチベーションを上げてくれたのは、間違いない。

帯同キャディーでなく、開催コース所属のハウスキャディーにバッグを任せ、芝目が強い、クセのある高麗グリーンのライン読みで助言を受け、グリーン上で安定したパフォーマンスを見せた。ショットは南国・宮崎の日差しで体が温まるにつれ、スイングの振り切りが良くなり、アイアンショットも徐々に切れた。

「上を向いていくだけ。明日からも攻めるところを、しっかり攻めたい」

日米通じての今季最終戦で、日米通じての今季初優勝へ。渋野が絶好の滑り出しだ。