国内メジャー出場53戦目で最もスローなメジャー初優勝へ-。プロ15年目の菊地絵理香(34=ミネベアミツミ)が通算12アンダー、首位と1打差3位に浮上した。4位から7バーディー、1ダブルボギーでこの日のベストスコアタイ67をマークした。

執念だ。トップタイで迎えた15番パー4、ラフからピンまで170ヤード、7番アイアンの第2打がガードバンカーあご下に刺さった。完全な“目玉”でアンプレアブルを宣言。4オン2パットのダブルボギーになった。

「あ~、ここで来るか」-。過去に2回、同じことがあった。今大会日本人最長の10年連続出場。ただし最高は18年の15位。いい思い出の少ないコースで気持ちを切り替え、巻き返す。16番パー3で5番ユーティリティーのショットを2メートルにつけ、バーディー。17番パー4は60ヤードから57度のウエッジでピン60センチにつけ、バーディー。鮮やかなバウンスバックで首位と1打差に食らいついた。

「1年の中で最も苦手なコースなんです。本当に毎年ダメダメで。成長なく終わることばかりで悔しくて。何とか攻略したいんですよね」。7月下旬の大東建託・いい部屋ネットレディスに優勝し、今大会出場権を手にした時「リコーカップに向けてやっていきたい」と話していた。4カ月前の真夏にこぼすほど、今大会にかけてきた。

クラブセッティングをほぼいじらないプロが、今季後半戦から初めて7番ウッドを入れた。最難関ホールの18番パー4(423ヤード)でいつも悩み、苦労する第2打対策。飛距離185ヤード相当のクラブをこの日、1度だけ使った。18番で残り189ヤードから2オンさせ、パーで締めた。

国内メジャー出場はアマチュアでの2回を含めて53試合目。4大会で過去唯一トップ10フィニッシュのない大会で、千載一遇のチャンスが巡ってきた。「昨年よりは成長したかなと思います。明日は風が吹かないと思うし、5、6アンダーは出さないとダメでしょう」。勝てば01年日本女子オープンで島袋美幸が記録した「出場42戦目」を大幅に更新する。もっとも時間をかけ、挫折を乗り越えた国内メジャー初優勝になる。