4打差8位から出た出水田大二郎(29=TOSS)が、ベストスコア65の猛チャージで、4年ぶりツアー2勝目を射程にとらえる2位に浮上した。5バーディー、ボギーなしと5つ伸ばし、通算9アンダー、201。試合で使うパターと形状が違う、長尺パターを使った練習で安定感が増したパットが光った。11アンダーの首位小平智に2打差と迫り、3年ぶり3度目の最終日最終組で逆転を狙う。

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ツアー屈指の難関パー3の18番で、出水田は満面の笑みを見せながら大歓声に応えた。鋭い傾斜の難しいラインを読み切り、ピン横5メートルのパットを沈めてバーディー。首位の小平に2打差と迫る9アンダーとし、4年ぶりの優勝へ逆転圏内につけた。「パッティングが3日間、イメージ通り打てている。優勝したいし、チャンスは大きい」と、胸を張った。出場全30人中、18番のバーディーは2人だけ。17番との連続バーディー締めは唯一で、最高の追い上げムードをつくった。

一風変わった練習が効果を発揮している。打つ時の構えも形状も全く違う、長尺パターを使った練習だ。約2カ月前から始めて「ヘッドの重みを感じながら打てるのがいい。今のパッティングに結び付いている」という。偶然、練習場で他の選手に借りて長尺パターで打ったところ「フィーリングが合う」と直感が働いた。総パット数は第1日から順に26、24、27と、3日間全てで高水準だった。

精神面の成長も感じている。初優勝した18年のKBCオーガスタを含め、成績上位2~3人で臨む最終日最終組は今大会が3度目で3年ぶり。「この4年間、なかなか優勝争いができなかった」と、今季もトップ10は1度しかない。最近は女子テニス大坂なおみのメンタルコーチの本で学んだ呼吸法を取り入れるなどして、緊張する場面でも落ち着いてプレーできた。大観衆の前で難しいパットを決めきった、この日最後の1打が成長の証し。「調子もメンタルも安定している。最終日が楽しみ」。今は183センチ、90キロの立派な体に見合う、実力と強心臓が備わっている。【高田文太】

○…小平が18年の今大会以来、4年ぶりとなる日米通算9勝目に王手をかけた。4バーディー、1ボギーの67と3つ伸ばし、11アンダー。スタート時に首位で並んでいたケネディらを2位に退けた。16番で10メートルを沈めるなど随所でパターがさえた。幼少から指導を受けてきた父健一さんが、現在は体調不良で自宅療養中だけに「おやじに優勝を見せたい気持ちは強い」と力説。さらにタイガー・ウッズの言葉を引用し「人のプレーに一喜一憂せず自分のことだけを考える」と語った。