女子ゴルフの菅沼菜々(22=あいおいニッセイ同和損保)が獲得賞金の一部の100万円を日本パラスポーツ協会に寄付し、8日、都内の所属先本社で行われた贈呈式に出席した。

公共交通機関や閉ざされた空間で不安を感じる「広場恐怖症」を抱えている。「私も広場恐怖症と向き合ってることから、パラアスリートを応援したい」との意向で寄付を申し出た。日本パラスポーツ協会によると、現役アスリートからの寄付は初めて。森和之会長は「温かい思いやり、パラアスリートへのエールは、共生社会を目指す原動力になる」と感謝した。菅沼は毎年寄付を続ける意向を示している。

病気は高校2年ごろに発症した。飛行機や電車、船に乗れず、ツアーも父親が運転する車で移動。オフの間も治療を続けている。「紹介していただいた何人かのお医者さんに会ってお話ししましたが、良くもなってないし、悪くもなっていない」と現状を明かした。

前日7日に現役引退会見を行った車いすテニスのレジェンド、国枝慎吾さんについても触れた。「SNSなどで活躍を拝見することもある。同じように病気だったり、車いすだったり、障害を抱えている方を見ると、私も頑張ろうと思えます」と少なからず刺激を受けていたようだ。

昨季はメルセデスランク8位。シーズンを通して好成績も未勝利に終わった。「優勝できなかったのは残念でしたが、大きいミスが減ったこと、無理をしないことで、安定感は想像以上でした」。今季については「どこかで優勝したい。今季も安定感のあるプレーをしたい」と意気込んだ

車で行けない沖縄で行われる開幕戦には出場できず、ツアー2試合目が今季初戦となる。「『何で(電車やバスに)乗れないの?』と言われることもある。沖縄と北海道の試合は一度も出られていないので、ファンの方も疑問に思うことあると思う。優勝したら伝わるのかな」。活躍とともに、病気が理解されることも望んだ。【近藤由美子】