主催者推薦で出場中の鶴岡果恋(23=明治安田生命)が2週連続の「下克上V」に王手をかけた。5打差8位から出ると、7バーディー、2ボギーの67の好スコアを出し、通算10アンダー、206で単独首位に立った。米アップルの創業者スティーブ・ジョブズの「直感力を信じろ」との格言を基に迷わずプレー。前週のアクサ・レディースで主催者推薦から初優勝した山内日菜子に続く快挙を目前にした。1打差2位に吉田優利とささきしょうこ。首位だった鈴木愛は3打差5位に後退した。

いつ何時でも迷わない。15番まで6バーディーを積み重ね単独首位で迎えた16番パー4。第1打を右斜面に曲げ、第2打もグリーン奥の斜面下にこぼす。首位陥落の危機だったが「ボギーでいい。ダボを避ければ」と迷いなく、58度のウエッジを振り抜く。ピン下8メートルにつけて2パットでボギーにとどめた。「ミスしても冷静にラウンドできた」と笑顔を見せた。

朝はジョブズの演説で目覚めた。高校時代から師事する重岡栄作コーチ(54)からラインが届く。そこには講演するジョブズの姿があった。「何より大事なのは、自分の心と直感に従う、勇気を持ちなさい」とのスピーチ。迷ってもいいが、最後は直感に従う。その心構えで不安を消した。

前半の出場権のあった昨季は29試合出場中16試合が予選落ち。1桁順位も9位が1回のみで「本当に苦しかったし、練習をしたくない時期もあった」。それでもドライバーの球筋を変えたり、趣味のバッティングセンター通いも、肉体強化につなげるなど、ゴルフへのプラスに変えてきた。前週は出場権がなく、主催者推薦で初優勝した山内の姿をテレビで見た。「私もいけるかもとの思いが生まれた」。下克上Vへ、最終日も直感力を信じる。【田口潤】

◆鶴岡果恋(つるおか・かれん)1999年(平11)8月20日生まれ。神奈川・横浜市出身。10歳からゴルフを始める。湘南学院高卒業。18年にプロテスト合格。同期は原英莉花、渋野日向子、稲見萌寧らがいる。ツアー最高順位は21年9月のゴルフ5レディースの3位。昨季はメルセデスランキング90位、年間獲得賞金は969万2000円で賞金ランク88位。