<女子ゴルフ:ヨネックスレディス>◇最終日◇29日◇新潟・ヨネックスCC(6376ヤード、パー72)◇賞金総額6000万円(優勝1080万円)

 34歳の新婚プロ・茂木宏美(赤城CC)が3年ぶりのツアー通算5勝目を挙げた。首位と2打差でスタートした最終日、後半インで33とチャージ。最終18番でバーディーを奪い、通算5アンダーで李知姫(32)を1打差で振り切った。炊事、マッサージなど、昨年10月に結婚した夫・窪田大輔氏(29)の全面バックアップを受けながら、ミセス初Vを手にした。横峯さくら(25)は5位。史上最速、最年少での生涯獲得賞金7億円突破は持ち越された。

 優勝スコアを提出して、最初の共同作業は熱い抱擁だった。茂木が夫大輔さんの胸に飛び込んだ。「優勝したら、恥ずかしいんでクラブハウスでひっそり喜び合おうねと言ってたんですが…」。打ち合わせもギャラリーの目も気にしなかった。

 3年ぶりのツアー優勝。昨年10月10日の結婚後初めてだ。元スノーボーダーで5歳下の夫はツアー帯同のマネジャーでもある。ホテルに炊飯器を持ち込み、五穀米を炊き、おかずもネットでメニューを調べ、作ってくれる。寝る前にマッサージもしてくれる。“婦唱夫随”の夫は「世間がどう思おうと、君が選手の間は“主夫”に徹する」と言う。茂木は「おんぶにだっこで肩車してもらっています」とのろける。

 妻は強かった。最終日、濃霧中断でスタートは2時間半遅れ、雨は降り続いた。悪天候の中、前半アウトを37で我慢するとバックナインは33。最終18番で5メートルのバーディーパットを決め、単独首位でホールアウト、後続の最終組にいた李知姫を1打差で振り切った。

 30歳を過ぎ、トレーナーに師事して体幹を鍛え始めた。不動、鬼沢ら年長選手に頼んで、練習ラウンドや食事を一緒にするようになった。若返りが進むツアーで、学べるものは何でも学び、生き抜くためだ。「次は公式戦(国内メジャー)に勝ちたい。憧れが塩谷育代さんなので」。メジャー3勝、2度の賞金女王などで複数年シードを手にし、2児をもうけた先輩が理想像だ。ゴルフも強くて、子供も産んで…。まだまだ若者に負けるつもりはない。【加藤裕一】