<海外男子ゴルフ・欧州選抜対アジア選抜:ザ・ロイヤルトロフィー>◇最終日◇22日◇中国広東省・ドラゴンレークGC(6968ヤード、パー72)

 石川遼(22=CASIO)が新しい武器となるアイアンショット「カスカベ」を完成させた。ウォーレン(英国)とのシングルス戦には1ダウンで敗れたが、地元埼玉の地名から命名した「かすかに左から右に曲がるフェードボール」でチャンスを量産した。強いバックスピンで硬いグリーンにも止まるショットで来年は米ツアー初勝利を目指す。アジアは通算2勝1分け5敗で通算7・5-8・5と逆転され、欧州が2大会ぶり3度目の優勝を果たした。

 勝負どころでフェードが威力を発揮した。16番パー4。石川は残り167ヤードの第2打を、8番アイアンのフェードボールで、ピン左1メートルにつけた。楽々挙げたバーディーで、2ホール連続のポイントゲット。ウォーレンに追いついた。

 「今日はアイアンは全部カスカベで攻めるよ」。スタート前の謎の宣言は「かすかに曲がるフェードショットを多用する」という意味だった。序盤も1番パー5でリードを許すも、4、6番とフェードをピンに絡めてバーディーを挙げ、ウォーレンを逆転した。

 前戦のタイ選手権から、徹底的にフェードを練習してきた。その際、佐藤賢和キャディーとの会話の中で「かすかなフェード」を「春日部フェード」と言い間違えた。これがきっかけで2人の間で「カスカベ」の呼び名が定着。ショットの曲がり幅についても「もう1駅分くらい曲げよう」「今のでは北千住まで行ってしまう」と、春日部駅がある東武伊勢崎線になぞらえて打ち合わせをする。

 佐藤キャディーは「カスカベはストレートと同じスタンスで打つので、飛距離がほとんど落ちない。バックスピンだけが増えるので、距離が長くグリーンが硬い米ツアーのコース攻略には有効」と分析する。石川も「このショットが打てれば、来年はすごく楽しみ」とかなりの手応えを得た様子。最近は出身地の埼玉・松伏町のゆるキャラ「マップー」のヘッドカバーも愛用。さらに“ご当地フェード”も武器に加え、地元愛を力に世界にはばたく。【塩畑大輔】