AS元年に気合が入る日本代表。前列左から吉田、京極、小俣、丸茂、大屋、安永。後列左から福村、足立、安部、乾、中牧、塚本
AS元年に気合が入る日本代表。前列左から吉田、京極、小俣、丸茂、大屋、安永。後列左から福村、足立、安部、乾、中牧、塚本

 シンクロナイズドスイミングあらためアーティスティックスイミング(AS)のジャパンオープンが、27~30日、東京辰巳国際水泳場で開催される。昨夏の世界選手権ブダペスト大会で五輪種目銅メダル1個に終わった「マーメイドジャパン」は新メンバー5人が加入。さらに井村雅代ヘッドコーチ(67)は「体操ニッポン」のエキスを注入した。世界中から集結した強豪に新しい演技を披露する。

関節の可動域広げるストレッチ

体操競技の練習も生かし、体の可動域の広がりが期待される日本代表チーム(写真は昨年の代表)
体操競技の練習も生かし、体の可動域の広がりが期待される日本代表チーム(写真は昨年の代表)

 第94回日本選手権を兼ねたジャパンオープンがいよいよ開幕する。全10大会で行われる「FINA(国際水連)ワールドシリーズ」の3戦目。ソロ、デュエット、チーム、混合デュエットは、テクニカルとフリーを独立して採点。フリーコンビネーション、ハイライトルーティンを加えて合計10種目が行われる。参加国は日本に加え、スペイン、ギリシャ、フランスなど18カ国を予定する。

 「マーメイドジャパン」再出発だ。昨夏世界選手権ブダペスト大会からメンバーが5人も変更。昨季は16年リオ五輪と同じルーティンを使用したが、五輪種目はすべて新しくした。

 ブダペストでは中国、ウクライナとライバルに後れを取った。選手の大型化は日本の悲願だが、そればかり待ってはいられない。井村ヘッドコーチは「ロシアの選手は体の関節がマルチに動く。そうなれば、演技も変わる」。最強ロシアにヒントを得て、日本体操協会の指導を仰いだ。選手たちは水中練習前に毎日1~2時間、関節の可動域を広げるストレッチを行う。

 長く定着した「シンクロ」の名前が消えて迎える新シーズン。東京五輪に向けた道のりが、ジャパンオープンからスタートする。

乾、中牧デュエット

昨年の大会で優勝した日本代表デュエットの乾(左)と中牧
昨年の大会で優勝した日本代表デュエットの乾(左)と中牧

 デュエットでエース乾、中牧組が出陣する。乾は「ジャパンオープンは世界中にやっていることをアピールするチャンス。(8月のジャカルタ)アジア大会につなげたい」と意気込んでいる。TRは、女忍者がテーマの「NINJA WOMEN KUNOICHI」。世界からの評価を確認した上で、今後も継続的に使用する可能性があるルーティンだけに、東京五輪も視野に注目が集まる。

前回は日本が4種目優勝

昨年、息の合った演技を見せた混合デュエットの安部(左)足立組
昨年、息の合った演技を見せた混合デュエットの安部(左)足立組

 前回大会は4月28~30日、東京辰巳国際水泳場で行われ、日本代表がデュエット、混合デュエット、チーム、フリーコンビネーション(FC)でジャパンオープンの部優勝を飾った。ソロはスペインのオナ・カルボネルが、日本のエース乾友紀子(井村シンクロク)を抑えて優勝した。

 注目のデュエットでは、乾がテクニカルで中村麻衣(同ク)、フリーで中牧佳南(同ク)と組んで183・1054をマーク。2位カナダのカリーヌ・トーマス、ジャクリーヌ・シモノー組に大差をつけた。

 日本選手権の部は井村シンクロクラブが全4種目を制した。ソロは大屋希良々、デュエットは大屋・安永真白組、チームとFCは同クAが1位となった。

 FCには男子が史上初出場。佐藤陽太郎(ジョイフルアスレティックク)が女性7人と泳ぎ、ひときわ注目を集めた。

シンクロから変更、意味は「芸術的水泳」

 シンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミング(AS)への競技名変更は、昨年7月22日のFINA総会で決まった。世界の水泳界では2カ月後から同名で運用。日本国内では今年4月1日から変更され、略称はアーティスティックおよびASを使用することとなった。同時性に限らず、表現力や演技の構成を争う点から「芸術的水泳」を意味するASの方が、この競技の名称にフィットすると判断された。名称変更が競技の魅力をさらに広げ、普及につながることが期待されている。

30日午後4時からNHK総合で放送

 本大会は30日(月・祝)午後4時から、NHK総合テレビで放送される。デュエットフリー決勝の模様を生中継するほか、世界のマーメイドの熱戦を伝える。中でも水中映像には注目してほしい。

ジャッジへアピール

大会に向け、練習に熱を入れる日本代表デュエットの乾友紀子(右)と中牧佳南
大会に向け、練習に熱を入れる日本代表デュエットの乾友紀子(右)と中牧佳南

 FINAワールドシリーズとなって2年目。エース乾友紀子(27)が目の色を変えている。「ジャパンオープンは世界から見られている。演技、点数が世界に回るのでベストなものを見せなければならない」と大会まで2カ月となった今、より意識を高めている。

 リオ五輪デュエット、チーム銅メダリストとして臨んだ昨年7月のブダペスト世界選手権。結果はチームのテクニカルルーティン(TR)と五輪種目ではないフリーコンビネーションの銅メダル2個に終わった。デュエットではリオでのコンビ三井梨紗子が引退し、TRで中村麻衣、フリールーティン(FR)で中牧佳南(25)と組んだが、いずれもウクライナの後じんを拝する4位に沈んだ。

 「自分たちが進化した演技を見せられなかった」という乾は「全種目に出場しながら、良い流れを作っていけなかった」と反省。TR、FRともに演技が新しくなった今年は「エレメンツ(規定要素の完遂度)も変わったので、しっかり技術を見せたい」と世界から来日するジャッジへのアピールを誓う。

 2年連続でコンビとなった中牧は「去年は乾選手に付いていくことしかできなかった。今年はしっかり先に進めるように自分自身が変わらないといけない」と気合を入れる。「エレメンツはしっかりとデュエットに見えるように、今までより20センチくらい高く上げるつもりでやる」との姿勢だ。そんな中牧に乾も「私も高さや演技の質を上げなければいけない。世界に目を向け、レベルアップしたデュエットにする」と、さらなる成長を目指している。

 19年には世界選手権があるが、2人の最大目標は20年東京五輪。「時間があるようで限られてきた。どの国も練習を積んでいると思うので、それ以上にやる」という乾は「リオの銅を上回る結果を出したい」と高い目標を掲げる。中牧も「銅よりもっと上を目指し、練習に取り組みたい」と口をそろえた。

 井村雅代ヘッドコーチの厳しい指導とともに、五輪銀、世界選手権金メダリストの宮川(旧姓立花)美哉コーチの言葉が2人の道しるべだ。乾は「日本で練習している時から世界を見なさい」、中牧は「試合での気迫、強そうな雰囲気が足りない」と言われ、改善に取り組む。金言を胸に乾・中牧組はジャパンオープンで世界のペアを迎え撃つ。

ジャパンオープン日本代表各選手の今年の大会への抱負

 乾友紀子(27=井村アーティスティックスイミングクラブ)
アジア大会に向け良い予感を持ってもらえるようにする

 中牧佳南(25=井村アーティスティックスイミングクラブ)
新プログラムで何か良く変わったと思われる演技をする

 小俣夏乃(21=アクラブ調布)
体を大きく使い人一倍高さを上げてパワフルに演技する

 福村寿華(21=井村アーティスティックスイミングクラブ)
リフトで高さを見せられるよう土台としてしっかり上げる

吉田萌(22=ザ・クラブピア88)
足を引っ張らないようA代表の自覚を持って挑む

 丸茂圭衣(25=井村アーティスティックスイミングクラブ)
今までと違うスケールの大きな日本を見せる

安永真白(18=井村アーティスティックスイミングクラブ)
しっかりお姉さん方に付いていけるように頑張る

塚本真由(20=東京アーティスティックスイミングクラブ)
長身を生かした迫力ある演技ができるよう頑張る

京極おきな(16=井村アーティスティックスイミングクラブ)
身長も技術も足りないが先輩に近づけるよう練習する

大屋希良々(18=井村アーティスティックスイミングクラブ)
先輩方に付いて行って良い演技ができるよう頑張る

 安部篤史(35=楓心舘)
近々の最終ゴール世界選手権に向けジャッジに印象づける

 足立夢実(29=楓心舘)
WSで点数を上げ次の世界選手権でのメダルにつなげる

選手身体改造へ 井村HC取り組む

選手を熱く指導する井村雅代コーチ
選手を熱く指導する井村雅代コーチ

 井村ヘッドコーチ(HC)は日本体操協会の協力も得て、選手たちの身体改造に取り組んでいる。「世界一の体操には、その理由がある。そうなれば(=その理由をつかめれば)私たちももっと前へ行ける」という同HC。ロシア選手と同様に関節がマルチに動ける体を作るべく、「水に入るのを我慢して時間を割いてきた」という。ジャパンオープンに向けては正月返上で合宿した。井村HCは「きっと今までより可動域の大きい体の使い方が見せられると思う」と選手たちの大会でのパワフルな動きを期待した。

ワールドシリーズ第3戦

ワールドシリーズ第3戦

 本大会は今年は全10戦開催予定の「国際水泳連盟(FINA)アーティスティックスイミング・ワールドシリーズ」第3戦として行われる。シンクロナイズドスイミングの名で昨年スタートした同シリーズ。第1戦は3月9〜11日のパリ(フランス)、第2戦は4月20〜22日の北京(中国)で、第4戦5月11〜13日・サモリン(スロバキア)、第5戦5月18〜20日・ブダペスト(ハンガリー)と続く。そして、第6戦以降はスペイン、カナダ、米国、ギリシャ、ウズベキスタンを転戦する。東京五輪を控える日本には重要なシリーズと位置づけられる。

ヤクルトが日本代表を支える

ヤクルトの乳製品で体の管理に努める乾友紀子(右)と中牧佳南
ヤクルトの乳製品で体の管理に努める乾友紀子(右)と中牧佳南

 ヤクルト本社提供の乳製品が今年も日本代表を体の中から支える。同社は2006年からシンクロ日本代表を応援している。大会や合宿時には、生きて腸内まで到達し、腸内環境を改善する「乳酸菌シロタ株」を1本(80ミリリットル)あたり400億個含むヤクルト400LTやジョアで選手をサポート。エース乾は「今年は摂取カロリーを調整しているので、LTは助かる」と言う。体の管理には欠かせない存在だ。

【観戦ガイド】

◆日  程
4月27日(金)午後1時15分開始=ソロ・チーム各T
4月28日(土)午前10時開始=混合デュエット・デュエット各T、ソロF予選、ハイライトルーティン
4月29日(日)午前10時開始=混合デュエットF、デュエットF、チームF
4月30日(月・祝)午前9時30分開始=オープニングセレモニー、フリーコンビネーション、ソロ・デュエット各F決勝。
(注)Tはテクニカル、Fはフリー。開始時間は予定
◆会  場
東京辰巳国際水泳場(東京メトロ辰巳駅)
◆料  金
4日間通し指定席=1万8000円(ぴあ限定販売)
指定席=SS5000円(27日のみ特別割引4000円)
同S=4000円
自由席=2000円
◆前売り所
チケットぴあ=チケットはこちら 電話 0570・02・9999
ローソンチケット=チケットはこちら
◆関係団体
〈主催〉日本水泳連盟
〈主管〉東京都水泳協会
〈後援〉日刊スポーツ新聞社、上月財団
〈特別協賛〉ヤクルト本社
〈協賛〉GMOクリック証券、ブルボン、味の素、東京海上日動火災保険、東京海上日動あんしん生命保険、日本製粉、レオパレス21、コーセー、日本航空、ファイテン、セイコーホールディングス、ミズノ、デサントジャパン、アシックスジャパン、オーエンス、タキロンマテックス、バカラ パシフィック、ヤマハ発動機
〈協力〉鈴乃屋