<全国高校総体:柔道>◇3日◇千葉・成田市中台運動公園体育館

 男子個人戦と団体戦が行われ、男子66キロ級でユース五輪(16~28日、中国)代表の阿部一二三(兵庫・神港学園2年)が優勝を飾った。6試合オール一本勝ちの所要時間は6分55秒、1分以内の秒殺が3試合と下馬評通りの実力をみせ「気持ち良かったです。自分でも納得いく結果」と汗を拭った。

 「自分の形になったら、投げられなかったことはない」。組み手を制すれば、有無を言わせぬパワーで相手を宙に舞わせる。初戦を11秒の背負い投げで滑り出すと、決勝も1分34秒。接近し、背中に回した右手を支えに釣り込み腰。勢いよすぎ、1回転半した相手が腹ばいに落ちる「スーパー一本」で最後は締めた。

 日本代表の井上監督も「フィジカルは高校生を凌駕(りょうが)している。楽しみ」と期待する肉体の秘密は父浩二さん(44)。神戸市消防局に勤務する筋骨隆々の消防士仲間と、小学生だった息子用に体幹メニューを作成。公園で2人で鍛え上げた。

 20年東京五輪を目標に掲げてきたが、「今年に入ってリオも視野に入ってきた」という。名前の由来は「一歩ずつ」で一二三だが、その歩みは速さを増すばかりだ。【阿部健吾】

 ◆阿部一二三(あべ・ひふみ)1997年(平9)8月9日、兵庫県生まれ。6歳から柔道を始める。神戸生田中では11年(55キロ級)12年(60キロ級)の2階級制覇。神港学園高に進学後、今年3月の高校選手権では73キロ級決勝で古賀颯人を破った。得意技は大腰、背負い投げ。右組み。憧れの選手は野村忠宏。家族は両親と兄と妹。168センチ。