世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、再びテニス王国スペインの牙城を崩す。昨年、自身クレー大会初優勝となったバルセロナオープンが20日に開幕する。錦織は、地元スペイン選手以外で10年ぶりに同大会の第1シードになる可能性が高まった。

 同大会のシード順は、12日発表の世界ランキングで決まる。しかし、6日の週に行われる2大会にトップ10の参加はなく、12日までに上位陣に大きな変動はない。つまり、今週の大会が終了して発表される6日の最新世界ランキングが、上位シードとなることが濃厚だ。

 同大会には、錦織以外に、現在のトップ10からはナダル(スペイン)、フェレール(スペイン)、ラオニッチ(カナダ)、チリッチ(クロアチア)が出場予定だ。しかし、今週の大会の結果で、錦織を世界ランクで上回れるのはフェレールだけ。それも、優勝しなくては、錦織より上位には行けない。

 スペイン勢にとって、同大会で使用される赤土のコートは特別なものだ。ナダルの全仏9度の優勝で分かるように、赤土は、スペイン勢にとって庭のようなもの。まして、地元となれば、絶対的に死守しなければならないタイトルだ。03年から続いていたスペイン選手連覇に風穴をあけたのが、昨年の錦織だった。

 タイトルを奪われただけではない。今年は、05年サフィン(ロシア)以来10年ぶりに、第1シードの座も外国選手に奪われようとしている。それが、ともに錦織なのだ。5月24日に開幕する赤土世界最高峰の全仏に向け、再び錦織の快進撃が始まる。

 ◆赤土 土を焼き、細かな穴ができる赤い色の土で、アンツーカーと呼ばれる。アンツーカーとはフランス語で「どんなときでも」という意味で、水はけがいいことも特徴だ。テニスでは、英国をのぞいた欧州と、南米で赤土が主流となっている。球がバウンドした後に弾むため、なかなかショットが決まらない。また、土のため、フットワークで足を滑らせることが可能で、守備範囲が広くなる。必然的にラリーが長くなり、あらゆる球種のショットと体力が試されるタフなコートだ。赤土の最高峰が全仏。