世界5位の錦織圭(25=日清食品)が完敗を喫した。同24位で、元9位のイスナー(米国)に、4-6、3-6の70分でストレート負け。昨年に続く4強入りはならなかった。しかし、世界ランキングで争っていたフェレール(スペイン)も敗れ、6日発表の最新世界ランキングでは、3月2日の週に記録した日本人最高の4位に復帰する。次戦は、20日開幕のバルセロナオープンで連覇に挑む。

 錦織の日ではなかった。身長208センチと、錦織より30センチも上回るイスナーのパワーで圧倒された。最大の武器で時速230キロ近いサーブをたたき込まれ、イチかバチかのストロークでコーナーを突かれた。完全なお手上げ状態で「笑うしかなかった」というほどの完敗だった。

 強烈なサーブと、なかなか相手のサービスゲームを破れないというのは想定内だったろう。想定外だったのはストローク。得意のラリー戦に持ち込んでも、2~3本で、ミス覚悟の強打を打たれた。それがことごとく入り、錦織のフォアとバックの決定打が合計2本に対し、相手は15本。「チャンスはほとんどなかった」。

 惜しむらくは第1セットだ。タイブレークにもつれれば、たった1点で流れは変わる。そこまで持ち込めなかったのは、常に相手のパワーで重圧を感じていたからだろう。また、4回戦までで16度も相手のサービスゲームを破った必殺リターンも不発。初対戦で、相手のサーブのコースを読むことも厳しかった。

 しかし、錦織は「自分のテニスは決して悪くはなかった」と前を向く。米国のマスターズ大会2戦で、16強と8強入り。世界5位としては、ノルマ達成とは行かないが、悪くもない。昨年までは、今大会が終わると、どこかを故障した体も問題はない。

 次戦から、5月24日開幕の全仏を目指して、赤土の季節が幕を開ける。20日には連覇がかかるバルセロナオープンに、スペイン選手以外で10年ぶりの第1シードとして挑む公算が大きい。「去年のようなプレーを思い出し、いい結果を残したい」。それまで、少しの小休止に入る。