全仏は錦織だけじゃない! 6連覇10度目の優勝を狙う世界7位のラファエル・ナダル(29=スペイン)が、大会史上初の70勝目を挙げた。同37位のソック(米国)を6-3、6-1、5-7、6-2で破りベスト8に進出。3日予定の準々決勝では、同1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。事実上の決勝戦ともいわれる大会屈指の好カードが、早くも準々決勝で実現だ。

 これが準々決勝とは、とても思えない。過去43回対戦し、決勝で戦うこと22回。宿命のライバルの対決が、何と赤土最高峰の準々決勝で実現してしまった。赤土の帝王ナダルは「自分の全仏人生の中でも、最もタフな準々決勝になる」と、10度目の優勝を目指す最大の難関に気を引き締めた。

 ナダルは、4回戦で、今大会初めてセットを失った。ソックの思いっきりのいいプレーに、一瞬のスキを突かれた。しかし、「相手が良かった。第4セットを立て直せて奪えたのはいい兆候」と、4セットで勝てたことを前向きにとらえている。

 この勝利で、誰よりも早く全仏70勝目に到達した。敗れたのは、過去、09年4回戦で、セーデリング(スウェーデン)に対する1敗だけだ。しかし、その赤土の帝王も、今年は初めて前哨戦の赤土で1度も優勝できない非常事態で今大会を迎えた。

 昨年中盤から右手首を故障。9月の全米を欠場するなどし、11月には虫垂炎を手術した。今年復帰したが「最初の数大会は本当に緊張した」と、1月の全豪でも8強止まりだった。しかし、4月のモンテカルロ準決勝でジョコビッチに敗れたが「少しずつ緊張も解けてきた。今は、まったく緊張しない」。

 ナダルが7位に世界ランクを落としたため、ジョコビッチと準々決勝で当たるカードとなった。「相手は今年最強なことは分かっている。でも、ベストを尽くすだけだ。ここは全仏。今までとは違う」。赤土の歴史は、決して渡さない。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 3日午後8時55分~、WOWOWプライム。男女シングルス準々決勝。生中継。放送時間変更の場合あり。