【ウィンブルドン=吉松忠弘】アジア男子初、夢の1000万ドルプレーヤーの誕生だ。世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、昨年の3回戦の再現となった同55位のボレリ(イタリア)を6-3、6-7、6-2、3-6、6-3で破り返り討ち。2週前に痛めた左ふくらはぎの不安を吹き飛ばし、賞金4万7000ポンド(約937万円)を確定し、生涯獲得賞金が現役男子として21人目の1000万ドルの大台に乗ることが決まった。

 間に合った。痛みは引いたが、違和感が残る左ふくらはぎは、最後まで動いた。ボレリのオールラウンドプレーをしっかり受け止め、得意のストロークで仕留めた。「自分のプレーをすれば大丈夫」と話していたように、昨年、フルセットと競った相手を返り討ちにした。

 この1勝で、生涯の獲得賞金が1000万ドルプレーヤーの仲間入りを果たした。男子では54人目で、現役選手ではわずか21人目。アジア男子としては史上初の大台で、2番目のパエス(インド)には、約200万ドル(約2億5000万円)の差をつけ断然のトップだ。

 06年に初めて年間5226ドル(約65万円)を稼いでから10年目での到達は、異例の早さだという。全米準優勝など躍進した昨年は、賞金ランク6位に当たる443万9218ドル(約5億5500万円)を稼ぎ、大幅に上乗せした。今年もすでに今大会前までに191万4693ドル(約2億4000万円)を稼ぎ、7位につけている。

 大会の賞金だけではない。11日に、世界有数の経済誌「フォーブス」が発表した「世界で最も稼ぐアスリート選手ランキング」では、初めて95位にランクイン。日本選手としては、ヤンキースの田中将大投手に次ぐ2番目で、年間スポンサー契約を含み1950万ドル(約24億4000万円)を稼ぐと報じられた。

 4大大会最古の聖地でも、錦織は大人気。練習が終わると「ケイ、ケイ」とファンがサインを求めて群がる。人気、実力、お金と3拍子そろった錦織が、再び快進撃の窓を開けた。

 ◆日本選手の生涯獲得賞金 錦織に次いで多いのが女子の杉山愛で812万8126ドル(約10億1600万円)。男子の2番手は添田豪の138万9410ドル(約1億7400万円)だ。クルム伊達公子は392万5320ドル(約4億9000万円)で、松岡修造は111万7112ドル(約1億4000万円)。大会の賞金額は年々増加しているため、昔より現在の方が同じ成績でも稼ぎは良くなっている。アジア女子では李娜(中国)が1670万9074ドルを獲得。

 ◆WOWOW放送予定 30日午後7時半~、7月1日午前0時~、男女シングルス1回戦ほか。すべてWOWOWライブ。生中継。放送時間変更の場合あり。