2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設問題について、後藤田正純衆院議員(45)が6日、都内でインタビューに応じ、整備費約2520億円に膨れあがった現計画を見直し、新国立を五輪後に野球場とサッカー場に分割する新計画案を語った。

 「今どき、『国立』なんて古い。プロチームがホームチームとして入れば年間100億円は稼ぐ」。「後藤田案」は現行案より約1500億円、整備費を削減できるとしている。

 新国立の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の名を挙げ、「もし、自分がJSCだったらホームにしたいチームを入札する。巨人でもヤクルトでもいい。または新球団ができたっていい。新国立は一等地。どこがやったって回収できる」と話した。サッカー場にはJリーグチームを募る。

 8万人のスタジアムを五輪後に改修し、5万5000人にする。縮小部分を曳家(ひきや)の技術でずらし、新秩父宮スタジアムに再利用する。新秩父宮はサッカーとラグビーに使用する。

 JSCは明日7日、国立競技場将来構想有識者会議で整備費約2520億円の内訳を報告し、請負業者との契約へ了承が得られるかが注目される。後藤田氏は「7日の会で『2500億円は反省します』と言い、考え直すべきですよ。そして大問題となった責任の所在を明らかにすべきです」と強い口調で言った。

 国際コンペで現行案を選んだ建築家・安藤忠雄氏に対し「国民に十分な説明がなされなかった選考を『もう1回仕切り直す』と安藤さんが言うべきだと思います。公明な安藤さんならできると思います」と訴えた。

 さらに大会組織委員会のトップについても「Jリーグもここまで育て、バスケットボール界の改革も進めている川淵(三郎)さんのような方になってもらいたい」とも話した。

 今から計画を見直した場合、19年5月に完成させ、ラグビーW杯日本大会に間に合わせる工期に不安が残るが、「誰がラグビーW杯に新国立を使うって決めたんですか? これも国民に説明がないまま決まっていた。W杯は聖地花園を改修してやればいい。ラグビー聖地としての花園の価値もさらに上がる。そうすれば、工期も延ばせるわけだから間に合う」と提案した。新国立の設計に関わる関係者から後藤田氏の元に「このままでは間に合わない」と“泣きの訴え”もあるという。

 アマチュアリズムに傾倒する日本のスポーツ界も東京五輪を機に、生まれ変わるべきとの考えも示した。「スポーツを産業化しなければならない。新国立で収益性が上がれば、国民に還元できる。学校の部活動のグラウンドは今でも、野球部とサッカー部が分け合って使っている所が多い。新国立のコストカット分や、収益率アップ分で、新たにグラウンドが作れる」と話した。