政府は10月に発足するスポーツ庁の初代長官に、1988年ソウル五輪競泳金メダリストの鈴木大地氏(48)を充てる方向で最終調整に入った。複数の関係者が3日、明らかにした。2020年東京五輪・パラリンピックに向けた選手強化の司令塔を担うため、元スポーツ選手として知名度の高い鈴木氏が適任と判断した。40代の政府組織トップは異例となる。

 関係者によると、政府側の打診に対し、鈴木氏は前向きな姿勢を示しているという。「メダリストで年齢が若い点が評価された」と指摘した。人事案は月内に正式決定する見通しだ。

 鈴木氏はソウル五輪の男子100メートル背泳ぎで金メダルを獲得。13年に史上最年少で日本水泳連盟会長に就任したほか、日本オリンピック委員会(JOC)の理事や、五輪出場経験者を集めた日本オリンピアンズ協会の会長も務めている。

 スポーツ庁はトップ選手の強化のほか、スポーツを通じた国民の健康増進、地域振興に専門的に取り組む官庁で、5月の関連法成立で新設が決まった。文部科学省の外局として、同省を中心に各府省のスポーツ関係部局から職員を集めて120人態勢で発足する。

 政府内には84年のロサンゼルス五輪柔道金メダリストの山下泰裕氏(58)や日本バスケットボール協会の川淵三郎会長(78)を推す意見もあった。だが、山下氏は全日本柔道連盟の副会長として暴力指導問題などで揺れた連盟の再建に取り組んでいる。川淵氏は来年秋に開幕する男子の新リーグを軌道に乗せる重要な役割があり、政府内で鈴木氏が有力となった。