07年以来8年ぶりの優勝を目指す同大が、3年生の活躍で4勝目(1敗)を挙げ、首位天理大(5戦全勝)をピッタリとマークした。

 ヒーローはフランカーの秦啓祐(3年=小倉)だった。まずは5点ビハインドの前半25分に、ゴール前でボールを受けて同点トライをゲット。9点リードで迎えた後半ロスタイムには、相手のパス回しをインターセプトした。約50メートルの独走トライで試合を締め、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。

 試合後には、チームへの熱い思いが口を突いた。進学先を考えていた高校時代、最初に声をかけられたのが同大だった。「それで(同大に)強い思いがあったんです。関西で最近、勝っていない。周りの同学年がたくさん同志社に行くことも聞いていて『みんなで関東に勝てたら』と思って来ました」。入学後はグラウンドを広く使う展開ラグビーを体験し、「魅力に思いました」とチームへの愛着がさらに深まっている。

 秦の趣味は1人旅。時間を見つけては温泉や観光地を巡る。大学入学後は京都・京田辺からミニバイクを使い、奈良公園まで出かけたこともある。「鹿さんを見て、これからのことを考えたりしましたね(笑い)」。オンとオフを大切にし、グラウンドに入れば妥協することなく体を張る。

 この日のスタメンに4年生は3人。秦を含めて7人の3年生が勝利を演出した。2トライでBKをけん引したFB崎口銀二朗(3年=大阪桐蔭)は、「尊敬するプレーヤー」に同じ3年で7人制日本代表のWTB松井千士(常翔学園)を挙げる。「ただでさえすごいのに、努力を怠らない。常に前を向いているんですよね」(崎口)。残り2試合を連勝すれば、自力で優勝が決まる。切磋琢磨(せっさたくま)しながらチームを押し上げる3年生軍団が、V奪回へエンジン全開だ。