最速クラスの男子T54は山本浩之(49)が1時間25分02秒で日本人トップの2位に入り、来年のリオデジャネイロ・パラリンピック代表に内定した。

 6連覇を達成したマルセル・フグ(29=スイス)に9秒差と、ゴール前まで大接戦を演じた。女子はマニュエラ・シャー(30=スイス)が3連覇。土田和歌子(41)はリタイアした。

 昨年まで5連覇中で今年のボストンも制したフグのラストスパートに、49歳の山本が食らい付いた。

 気温25度を超える消耗戦の最後の勝負どころ。惜しくも9秒差で優勝は逃したが、「世界」に肉薄する底力を見せつけた。

 「1時間27分を切って3位以内で日本人トップ」のパラリンピック代表条件をクリアし、08年北京、12年ロンドンに続く3度目の夢舞台への出場権を手にした。

 「レース中は暑くて、集中を切らさないように心掛けました。ここ数年で最高のコンディションでした。今日は上り坂でも僕が一番強かった。代表を決めるつもりでした」と満を持しての内定だった。

 22位に終わった12年ロンドン・パラリンピック後、「このレベルでは世界では勝てない」と、土台となるポジションとフォームづくりから着手した。

 試行錯誤の末に今年5月に「しっくりするフォームがかたまった。トップスピードも増したし、上り坂も強くなった」と49歳にして成長を実感した。

 山本は20歳の時にバイク事故で下半身不随となり、11年2月には長男寛大さん(当時16)を飲酒運転の車にはねられて亡くす悲劇にも見舞われ、以来、飲酒運転撲滅運動にも取り組んできた。

 「これでストレスもなく、リオまでじっくり調整できる。あくまで金メダルを目指します」。50歳で迎える3度目の大舞台に、さまざまな思いを込める。【首藤正徳】