来年のリオデジャネイロ五輪のアーチェリー男子に、高校生コンビが出場する可能性が出てきた。

 今年の日本のトップ12で争う、2016年ナショナルチーム選考会(3日間の合計得点)で18歳の高校生、河田悠希(広島・佐伯)と武藤弘樹(愛知・東海)がワンツーフィニッシュし、選出条件の5位以内に入った。2年ぶりに出場した53歳の山本博(日体大教)は10位に終わった。

 3日間に及ぶ戦いの終盤は高校生の首位争いになった。トップを走る河田に武藤がじわりじわりと差を詰めてきた。それでも「競ってきたのは気づいていました。でもしっかり攻めて思い通りのシューティングができていました」と、河田は最後までトップは譲らなかった。

 ともに1997年6月生まれ。武藤によると「中2の全国大会で河田くんの存在を知った。高1のころからライバルとして意識するようになった」という。昨年の全日本選手権で河田が史上最年少の17歳で優勝して一歩先に脚光を浴びる。「自分がうまくなっても、いつもその上を行く存在です」と武藤は言う。

 もっとも河田も今年は大きな挫折を味わった。世界選手権の最終選考で代表メンバーから外れた。「すごく悔しかった。でもまだリオの可能性はゼロじゃない。たとえ可能性がなくなっても次のためにと猛練習した」。その成果が秋に出た。今大会直前のU-20(20歳以下)の大会もジュニア日本新記録で制した。「以前より落ち着いて冷静に試合に臨めるようになった」という。

 全日本アーチェリー連盟の宮崎利帳理事長は「高校生の活躍で東京五輪が楽しみ。その前のリオデジャネイロ五輪で経験を積むことができれば、その経験は東京にも生きてくる」と期待を寄せていた。

 ◆男子のリオ五輪出場条件 今回選出された5人は、1~2月の海外合宿での記録会と3月の国内記録会の合計得点で2人に絞られる。この2人に個人で五輪出場権を獲得している古川高晴を加えた3人が、6月のW杯アンタルヤ大会で五輪団体出場権を獲得すれば、五輪代表に内定する。