【バルセロナ(スペイン)9日=阿部健吾】フィギュアスケート女子で元世界女王の浅田真央(25=中京大)が、2季ぶりのGP(グランプリ)ファイナル制覇に向けて現地入りした。2週前のGPシリーズ最終戦NHK杯は3位。不調だったジャンプを中心に練習を重ね、立て直しが注目される。初訪問となるスペインで優勝すれば、史上最多5度目となる。

 初めて降り立った情熱の国スペインで、浅田はさっそく体を動かしていた。空港で荷物の受け取りを待つ間、寒さを想定してか着ていた上着を脱いで、ピンク色の長袖姿になると、フライトで窮屈だった体に刺激を与えるように、脚を中心にストレッチをした。「まあまあです」と調子を述べたが、空港の駐車場に移動する際には再び外套(がいとう)を羽織り、「思ったより寒いですね。日本と同じくらいかな」と周囲と談笑して笑顔がのぞいた。

 先月下旬のNHK杯はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)だけでなく、ルッツなどにもミスが続いた。1年間の休養からの復帰戦となった10月のジャパン・オープン、11月の中国杯の好調さとは一転、思うような演技をそろえられなかった。それから2週間、「パートごとと(曲を)通しての練習と両方」を滑り込み、短い期間ながらジャンプ中心に取り組んできた。

 ファイナルはシリーズの上位6人で争う。「勝ち抜いた選手だけが出られる大会。自分のできることを精いっぱいやるだけです」と勝負にかける思いをにじませた。午後には公式練習に参加し、調整に励んだ。復帰戦からの2戦は「スケートをまたできる楽しさ」を味わい、好結果が出た。NHK杯では勝負への気負いが出て、結果が出なかった。一流だけが集う大会で、どんな演技を披露するか。

 ◆GPファイナル 全6戦あるGPシリーズ各大会の順位をポイント(1位15点、2位13点、3位11点…)に換算し、2戦合計点の上位6人が進出できる。日本男子は12年に高橋大輔、13、14年に羽生結弦が優勝。女子は03年に村主章枝、05、08、12、13年に浅田真央が優勝している。