筑波大が関西王者の同大を下した。1勝1敗で勝ち点7としたものの、5大会連続のベスト4入りは消滅。同大は同じく1勝1敗の同9で、27日の首位大東大(同12)戦に2次リーグ突破の可能性を残した。試合は筑波大のW杯日本代表であり、7人制同代表のWTB福岡堅樹(4年)と同大の7人制同代表WTB松井千士(ちひと、3年)がマッチアップし、6636人が集まった聖地・花園を何度も沸かせた。

 最初に魅せたのは松井だった。9点を追う前半ロスタイム。右に展開するボールをゴール前で受けると、相手防御に迫られながらもトライ。ビハインドを4点に縮めると、後半は福岡が反撃だ。筑波大11点リードの8分に、右隅でボールを受け、タックラー約3人を抱えながらトライを記録。福岡は「スピードは向こう(松井)の方が上だと思いますが、フィジカルの部分は(負けられない)」と、4点差に迫られた26分にも相手を背負いながら2トライ目を奪った。松井も同17分にトライし、両者2トライずつと持ち味を発揮した。

 試合後は福岡から松井に「お疲れさま」と声をかけた。松井は「堅樹さんは速いランナー。マッチアップする場面もあったし、成長できたと思う」と80分間戦ったことでの収穫を実感。一方の福岡は「個人的には意識していなかったけれど、向こう(松井)側でいろいろ言われていたので、(自分との)対決に勝つと乗ってくると思っていました」と笑った。福岡は対戦前に松井が発した「堅樹さんもスピードがあるが、対面で置き去りにしたい」といったコメントを報道などで収集。先輩としての意地に勝利の結果が加わり、感想にも余裕がにじみ出た。

 2人は来年、リオデジャネイロ五輪の7人制代表メンバー入りに向けてライバルにもなる。同大山神監督は松井に対し「(福岡と前回戦った)2年前にやったときよりはかなり近づいた。ただ、外でボールを待っていたので、もっと中に入っていくのが彼のテーマ」と注文。筑波大古川監督も福岡へ「彼がボールを持つときはみんなが期待する。今日は持ち込んでボールを取られることもあった。僕自身が堅樹に対して満足をすることはない。もっともっと高いプレーを目指して欲しい」と厳しかった。

 50メートル走5秒7の松井に、5秒8の福岡。日本のラグビー界を背負う快足同士の切磋琢磨(せっさたくま)は、これからも続いていく。