トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に失敗した後の強気が、浅田真央(25=中京大)の復活の鍵だった。

 冒頭の大技で大きく転倒したが、直後に思ったことは「しっかり回った。悔いはないな」という前向きな気持ち。その割り切りに支えられ、フリー2位の131・72点につながり、SP5位から3位への浮上となった。

 先月下旬のNHK杯のSPでも3回転半で転倒している。そこで口にしたのは「アクセルを決めると気持ちも乗ってくるというのが1つあって」という心持ち。逆に言えば、決まらないことの影響は大きかった。

 それが今大会のフリーでは、良い意味での割り切りで、以降の滑りへの余波を生じさせなかった。

 復帰後、たびたび「トリプルアクセルは自分の中で特別ではない」と発言をしてきた。演技の1つの要素としてとらえ、プログラム全体での表現を重用してしてきた。ただ、NHK杯での発言のように、代名詞の出来不出来に左右される部分は確かにあった。それが、この日はなかった。

 復帰4戦目にして、ようやく「特別ではない」ということを体現できたように思える。そういう意味で本人が言うように「今季一番のフリー」だったと言える。