新国立競技場の整備計画と大会公式エンブレムの白紙撤回で揺れた東京五輪・パラリンピックの準備に、新たな問題が浮上した。開閉会式の会場となる新競技場の聖火台の設置場所について想定が甘く、昨年12月に決まった新デザインの設計を変更する可能性も出てきた。原因は大会組織委員会と政府の連携不足だ。

 組織委によると「聖火台は五輪のメーンスタジアムの内外から見える場所に配置するべきだ」との国際オリンピック委員会(IOC)の規定がある。新計画の策定に当たり、組織委は事前にこの要件を政府や事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)に伝えていたと主張した。

 しかし、政府関係者は「今ごろになって何を言い出すのか。事務方が(組織委の)森喜朗会長にしっかり伝えていない」と反論し「組織委は全部、後手後手。主体性がない」と切り捨てた。

 設置費用についても「これから考える」と遠藤利明五輪相。スポーツ界の存在感は相変わらず薄く、国民を失望させた二つの白紙撤回騒動と同様に「オールジャパン態勢」のほころびが目立つ。