女子100メートルバタフライで日本新を出した池江璃花子さん(15=ルネサンス亀戸)はリラックスできてましたね。

 昨年のこの大会は予選落ちしています。昨日(3日)の練習では不安な表情をしていたんですが、「緊張するのはみんな一緒だから」と声をかけました。「心強いです」と返してくれましたけど、今日の予選が終わったら元気な顔してましたね。「星さんに負けたくないから速く泳いじゃいました」なんて負けず嫌いなところも見せていました。肝っ玉がすわったというか、1つ大きな壁を乗り越えたんじゃないでしょうか。

 技術的なことを言うと、長い手足を生かした大きくなめらかな泳ぎが彼女の特徴。グッと水をかくというよりも、水の上をスライドしているよう。体重移動がうまいんです。それが後半の伸びにつながっている。

 この快泳は明日以降につながります。コーチの村上先生も「100バタがメインだ」と言っていたくらいで、ここを乗り切れば100、200メートル自由形も必ず結果が出ます。

 私も高校生で日本代表になったとき、先輩の中村真衣さんに「記録は伸ばせるときに伸ばしておきなさい」と言われました。その意味が今になってわかります。普段はひょうひょうとした池江選手ですが、世界は近づいています。貪欲に上を狙っていってほしいと思います。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪代表)

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。00年日本選手権に15歳で初出場。01年世界選手権で初代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程。173センチ。