リオデジャネイロ五輪男子代表最年少の19歳、渡辺一平(早大)が「ポスト北島」に名乗りを上げた。男子200メートル平泳ぎ決勝で2分9秒22と、エース小関也朱篤(ミキハウス)を破って優勝した。レース後はプレゼンターを務めた憧れの北島康介氏からメダルをかけてもらい、次代を託されるように握手された。

 表彰台の真ん中で、北島氏から「おめでとう」と声を掛けられる。渡辺は喜びとともに、日本のお家芸を守る責任を感じていた。「200メートル平泳ぎは(04年アテネ大会から日本人が)メダルを取り続けている。途切れないようにしたい」と高い目標を掲げた。

 今年に入ってから19歳の勢いが止まらない。北島氏の冠大会でもある1月の東京都選手権で100メートルの自己ベストを出す。先月の五輪代表選考を兼ねた日本選手権では200メートル予選で自己ベストを上回る。同決勝ではラスト20メートル付近で北島を抜き代表枠の2位に食い込み、初の五輪代表の座を獲得。今大会も100メートルで自己ベストを更新した。

 引導を渡した北島氏は憧れの存在だ。小学2年のとき、08年北京五輪の2大会連続2冠をテレビで見た。「水泳って格好いい」と始めるきっかけの1つになった。以来、北島氏の泳ぎを理想に掲げる。今も映像を見て、抵抗を受けにくいキックの仕方を学んでいる。

 本命の200メートルの自己ベストは2分8秒83。メダルには2分7秒台が必須のため、まだ世界の壁は厚いが、19歳には限りない可能性がある。「男子最年少としてチームを引っ張る存在になりたい」。北島氏の激励を無駄にしない。【田口潤】

 ◆渡辺一平(わたなべ・いっぺい)1997年(平9)3月18日、大分県生まれ。大分・佐伯鶴城高3年でユース五輪男子200メートル平泳ぎで金メダル。大食漢で、すしを44皿食べたこともある。将来の夢は「いい家庭をつくること」。193センチ、76キロ。