五輪改革を反映した大会組織委員会のプランが受け入れられ、国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年東京五輪の追加種目を8月の総会に5競技一括の「パッケージ」で提案することを決めた。一部競技が脱落するリスクが回避され、米大リーグの選手参加が不透明で採用に厳しい意見も出ている野球には追い風の展開となった。

 「決して安泰とは言えない」と野球採用に危機感を持っていた組織委の森喜朗会長は「一括提案が強い希望だった」と安堵(あんど)感を漂わせた。投票権を持つ約100人のIOC委員は、野球人気が高くない欧州出身者が多数を占め、個別採決になれば楽観できない情勢にある。しかしコーツ副会長は「5競技の一括提案なら投票で委員の誰もが反対しにくい。これはバッハ会長の戦略でもある」と指摘した。

 もともと追加種目は五輪改革で開催都市に与えられた特権だ。5競技のうちスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンは若者を重視するIOCに配慮した選択だった。一括提案は日本が採用を熱望する野球が外れて「本末転倒」にならないための措置と言える。マコネル競技部長は「採用へ大きなハードルはない」と自信を示した。