女子で世界81位の大坂なおみ(18)が、初出場でシード選手を破る金星を挙げた。同30位で第28シードのココ・バンダウェイ(米国)に6-7、6-3、6-4の逆転勝ち。最終セットでは女子ツアー歴代8位、日本女子最速に相当する時速201・1キロの爆弾サーブで窮地を脱した。ケガで欠場したウィンブルドンを除き、今季出場した4大大会すべてでシードを倒す大物食い。2回戦では同103位の段瑩瑩(中国)と対戦する。

 13番コートの観衆がどよめいた。3オールから迎えた第7ゲーム。0-40と追い込まれた。そこから大坂は「何にも覚えていない」と無の境地で反撃した。15-40で放った強烈なサーブが、コートに突き刺さった。電光掲示板には「125」の数字が表示された。

 これはマイルで、キロに換算した大会公式速度は時速201・1キロ。爆弾サーブでエースを奪うと、続くポイントも193キロのエースでジュースに追い付いた。そのままサービスゲームをキープし、ピンチを脱した。201・1キロは女子ツアー歴代8位に相当する速度。女子では驚異の200キロ超えにも、当の本人は「あら、そうなの。セリーナみたいだったかな」と、あっけらかんと世界女王に例えた。

 大坂は180センチ、相手のバンダウェイは185センチ。ともに長身の大型対決は、第1セットはパワー勝負の末、タイブレークで競り負けた。米国の人気歌手ビヨンセの曲を頭の中で歌い「リラックスしようと心がけた」。それが反撃の合図だった。第2セットを6-3で奪い、最終セットは勝負どころで得意のサーブが威力を発揮し、6-4で押し切った。勝利の瞬間、観衆からは「なおみ」コール。全米初出場初勝利に「とてもうれしい。ちょっと緊張した」と、たどたどしい日本語で喜びを表現した。

 6月のウィンブルドン前に、練習で膝を負傷。約1カ月、ツアーから遠ざかった。「焦ったが、自分にプレッシャーをあまりかけないようにした」。復帰後、ツアー本戦での勝利は7月下旬のブラジルで8強入りしただけ。それでも全豪、全仏に続くシード撃破で大物ぶりを証明した。

 たどたどしい日本語も「よろしくお願いしまーす」と、全仏当時よりも積極的にトライ。「1日2時間ぐらい練習。Youtubeね」とテニス同様、上達している。大坂が幼少期に育った思い出の地、ニューヨークで世界を驚かせる金星で1回戦を突破した。【吉松忠弘】

 ◆大坂なおみ(おおさか・なおみ)1997年(平9)10月16日、大阪市生まれ。3歳でテニスを始め、4歳で米国に移住。14年の米国ツアー大会で初めてツアー本戦に出場し、元全米覇者のストーサーを破った。父でコーチのレオナルドさんはハイチ出身の米国人で、母環(たまき)さんが日本人。姉まりもプロテニス選手。180センチ、69キロ。

 ◆WOWOW放送予定 31日午前7時55分~、1日午前0時~、WOWOWライブ。男女シングルス1、2回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。