錦織のケガは軽症だった。5日の楽天ジャパン・オープン(東京・有明)2回戦で左臀部(でんぶ)の痛みのため途中棄権した世界5位の錦織圭(26=日清食品)は、同日夜にMRI(磁気共鳴画像装置)検査を受けた結果「左臀部の軽い筋膜炎」と診断された。出場を予定していた上海マスターズ(9日開幕)を欠場することが6日、マネジメント会社から発表された。復帰は24日開幕のスイス室内(バーゼル)になる。

 不幸中の幸いだった。長引く重症ではなかった。錦織は6日、マネジメント会社を通じてコメントを発表。「最低10日間の休養とリハビリが必要。コートに立てるように、できる限りのことをして準備したい」。MRI検査では、画像に写るような大きな異常は見当たらなかった。

 大事を取って上海のマスターズは欠場する。母国の楽天ジャパン・オープン2回戦を棄権し、上海も欠場。アジア2連戦をまっとうできず「出られないのはすごく残念」。ただ、24日開幕のスイス室内(バーゼル)には間に合う予定。関係者も「出る方向でいる」と話す。

 今年の残された目標は11月13日に開幕する最終戦、ATPツアー・ファイナルへの3年連続での出場だ。年間ランキング上位8人だけが出場できるが、すでにジョコビッチ、マリー、バブリンカは確定しており、残りは5枠。錦織は出場権争い5位で、楽天で優勝すれば出場は確実だった。

 楽天を含んだ出場権争いの得点で現在、錦織は4360点。昨年、8位で滑り込んだときの得点が4035点だったことを考えると、すでに十分な得点を獲得している。9位のベルディハとも1490点との大差。他選手の動向にもよるが、最終戦への出場に手をかけている。

 錦織は一両日中に拠点とする米フロリダに戻り、休養とトレーニングにあてる。最終戦まで残り2大会。スイス室内はマスターズの1つ下の500の大会。バブリンカ、ナダルらがエントリーしているが、強豪を押しのけ、最終戦出場をつかみ取る。【吉松忠弘】