ショートプログラム3位の紀平梨花(14=関大KFSC)が国際スケート連盟(ISU)非公認大会ながら自身国内大会初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に成功し、逆転優勝を果たした。

 130・74点の好記録をマークし、合計195・18点。ISU公認大会で成功者のいない3回転半と3回転トーループの連続技は回避し“世界初”の偉業は持ち越しとなったが、超満員の観客を魅了した。

 異様な雰囲気が会場を支配した。紀平や最終的に2位となった本田真凜(15=大阪・関大中)らが名を連ねた最終組。時間が迫ると観客席後方は立ち見でごった返し、最終組の間のみ、観客席の階段にも人が座った。それでも紀平は「あんまりお客さんは気にならなかった」。集中力を切らさなかった。

 冒頭のトリプルアクセル。跳ぶ瞬間に観衆の一部は立ち上がった。成功。着氷直後のみ喜びをかみしめ「ほとんど覚えていない」と無我夢中で滑った。7つのジャンプは全て成功。ISU非公認大会ながら自己ベストを記録し「(本田に)勝ったとかあまり実感ないけれど、自分のいい演技ができました」とはにかんだ。

 先月末のジュニアグランプリ(GP)シリーズ第5戦スロベニア大会で女子史上7人目のトリプルアクセルを決め、迎えた凱旋(がいせん)試合だった。表彰式に向かう際にはサインを求める人だかりに足止めされ「演技直後にあんなに来たのは初めて」とニッコリ。今や本田に迫る勢いで注目度が高まっている。本田とは同じ関大を練習拠点にする間柄。「やっぱりいい環境だと思います」(紀平)。次戦は西日本選手権(今月28~30日、京都アクアリーナ)。世界レベルの競演はまだまだ続く。