昨季の女子ジャンプW杯総合を制した高梨沙羅(20=クラレ)が14日、W杯転戦のため、成田空港発の航空機で渡欧した。現地では合宿後、来月2日からノルウェー・リレハンメルでW杯開幕戦に臨み、その後ロシアと転戦する。

 全日本ショックは1日で取り去った。13日の全日本選手権(山形)ではノーマルヒルでまさかの2位に終わった。女王らしからぬ飛行だったが「ビデオを見返しても、大きなミスはない。練習してきたことは間違いではない」と切り替えに成功してプレ五輪シーズンのW杯へ向かった。

 現在W杯通算44勝。男子のシュリーレンツァウアー(オーストリア)の最多53勝も見えてきた。「土俵が違う。比べものにはならない」と謙虚に言ったが、昨季に続くW杯総合優勝へ「シーズンを通してベストを尽くしたい」と表情を引き締めた。

 敗戦ショックから1日で立ち直ったように、長いシーズンでは切り替えが大切になる。1番の気分転換は食事。「散歩ついでに食べに行ったり、スーパーに行って買って作ったり」と楽しそうに話す。得意料理は「ありません」と言ったが、競技同様、料理の腕前も上達していることは間違いない。この日もばっちりメークで大人の表情を見せた。心身の成長も競技力の安定につながりそうだ。