羽生結弦(22=ANA)が106・53点の今季世界最高得点をマークし、4連覇に向けて好発進した。

 冒頭の4回転ループは跳んだ瞬間に少し傾き、止まりそうになりながら何とか降り立った。この日の昼の練習では、SPの曲を通してノーミスするなど絶好調。自分への期待、「ファイナルだ」という高ぶりから緊張していたが、このミスで「いい具合にほぐれた」。ノーミスの重圧から解放され、後は気持ち良く滑るだけだった。続く4回転サルコー3回転トーループの連続技は、出来栄え点2・57点をマーク。後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も美しく決め、同じく2・43点の加点を稼いだ。

 プリンスの曲「レッツ・ゴー・クレイジー」を使った今季のSPでは、試合でありながら観客との一体感を大事に考えている。リズムに乗った後半のステップでは、観客席に向かい、来いよ、とばかりに手招きするアドリブも飛び出した。

 演技後は、11月のNHK杯の時にも見せた「あとちょっと」のしぐさでおどけた。SPで今季自己ベスト、通算でみれば昨季GPファイナルの110・95点、世界選手権の110・56点に次ぐ3番目に高い得点をマークした。それでも「まだまだスピンは速くできるし、もっとスケートも滑れる、もっとジャンプもきれいに跳べる」と満足はしない。「伸びしろがたくさんある」とさらなる手応えをつかめた演技だった。