東京五輪の星、杉原愛子(17=朝日生命)が、平均台で世界初となる技「I字2回ターン」を成功させ、新技として国際体操連盟(FIG)に申請された。男子では白井健三(20=日体大)が自らの名のつく技を5つ持っているが、女子では94年の新井由可以来、22年ぶりだ。

 幅10センチの平均台で鮮やかなターンが決まった。リオ五輪団体総合4位に貢献した杉原が、高度なバランスと高速スピンが必要なE難度の「I字2回ターン」を成功させた。足を顔の前に持ち上げて回るこの技は、1回半までは発表されており、2回は世界初。別の技での落下が響いて4位だったが、気品ある笑みを浮かべた。

 ところが、この先にドタバタが待っていた。日本協会はただちにFIGに映像を提出し、E難度の新技として申請したが、直後に「すでにその技は発表されている」と残念な返信があった。しかし1時間後、今度はFIG側が勘違いしていることが判明し、新技の申請が有効と確認された。

 体操の新技申請方法は男女で違いがあり、男子は昨年のこの大会で白井の床運動の「シライ2」が即時認定されたのに対し、女子はまずFIGに申請し、同じ選手が世界選手権か五輪で再び成功させたケースのみ、採点規則に技が載る。

 会見は新技申請ができなかった時点だった。杉原は「2回ターンが成功したのは良かった」と言いながら表情を曇らせたが、訂正情報を聞いていつものスマイルが戻った。次は来年9月の世界選手権(カナダ)で再び成功させることが目標になる。

 ◆日本女子の名前がついた技 83年世界選手権の段違い平行棒で森尾麻衣子が成功させた「後方2回宙返り1回ひねり降り」は「モリオ」、94年世界選手権の同種目で新井由可が成功させた「大逆手からの前方抱え込み2回宙返り降り」に「アライ」の名がついている。杉原の技が認定されれば女子としては94年以来3人目だが、ルール改正があり「スギハラ」とは命名されない見通し。