6月に役員を改選する日本体協の新会長に、味の素の伊藤雅俊会長(69)の就任が有力であることが11日、関係者の話で分かった。3期6年務めた現会長の張富士夫トヨタ自動車名誉会長(79)は同日の理事会で「若い方にお譲りしたい」と任期満了で退任する意向を表明。新たなトップは再び財界から迎える方向となった。

 伊藤氏は理事会で学識経験者枠の次期理事候補者として承認された。新役員は6月の評議員会で正式に決まり、会長は新理事の互選で決まる。

 慶大出身の伊藤氏は1971年に味の素に入社。海外企業との提携や企業の合併・買収(M&A)で手腕を発揮した。2009年に社長に就き、15年から会長を務めている。

 味の素は03年に東京スタジアム(東京都調布市)、09年にトップ選手の強化拠点のナショナルトレーニングセンター(NTC)の命名権を取得したほか、五輪日本選手団への栄養サポートを行うなどスポーツ支援に力を入れている。関係者は「スポーツに理解のある企業で、(伊藤氏は)政財界にも太いパイプがある」と述べた。

 張会長は2月で80歳になることに加え、森喜朗前会長と同じ3期となることで退任を決断した。