青森の「神ってる男」だ。神(じん)巧也(23=シチズン)がリオデジャネイロ五輪団体銀メダリストの吉村真晴(名古屋ダイハツ=23)を4-2で破り、16強入りを決めた。

 強烈なフォアハンドと絶叫を武器に攻め立てた。得点を重ねるたびに「ウォー!」と声を張り上げる。「全身全霊で向かっていきました。叫び声はいつもです」と気後れすることなく、同世代の相手を序盤からリードした。第6ゲーム、10-6とマッチポイントとする。最後は相手のリターンがネットにかかると「感極まった」と思わずサイレントモードに突入。声を発さずに右腕を何度も突き上げて、強敵撃破の喜びを全身で表した。

 愛社精神が強い。卓球選手には珍しく、左腕に腕時計を着用。シチズンの「Q&Q」という商品で、この日はユニホームに合わせて青のものを選択していた。試合中に時間確認をする余裕はないと笑うが、「入社半年後からつけるようになりました」と自社製品のPRも忘れない。

 つゆ焼そばが有名な青森・黒石市出身で、好きな歌手は「Mr.Children」。所有の携帯オーディオプレーヤーにはミスチルのみが入っている。この日は「Starting Over」と「光のアトリエ」を聞いて、気持ちを高めていた。

 次は準々決勝で明大時代にダブルスも組んだ平野友樹(24=協和発酵キリン)と戦う。「1歩1歩全力で向かうのが僕のスタイル。積み重ねていって最後にいい結果が出ることが多い。(平野は)良きライバルなのでいいゲームをしたい。表彰台に上れるようにがんばりたい」と意気込んだ。