高木美帆(22=日体大)が「聖子流」で五輪メダル獲得を狙う。世界選手権では短距離から長距離までオールラウンドで力を発揮。日本選手では00年の田畑真紀以来、17年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した。来年の平昌五輪では92年アルベールビル五輪の橋本聖子以来、全種目出場の可能性がある。多種目をこなして力をつける「聖子流」の成果は着実に出ている。本命の1500メートルでは、団体追い抜きとともに、金メダル候補に浮上した。

 個人種目でも五輪金メダルが見えた。最終日の本命1500メートル。高木美は五輪金4個の1位ブスト(オランダ)に0秒32差の2位。3000、5000メートルはともに6位と、持ち前のスピードだけでなく、持久力も光った銅メダル。「もっと上にいける可能性がある」と、日本のエースになった22歳は上だけを見た。

 「聖子流」の成果だ。現役時代、500から5000メートルまですべてを滑り、92年アルベールビル五輪1500メートルで銅メダルを獲得した日本連盟の橋本会長。常々「得意の1000メートル、1500メートルでメダルを取るためには、500メートル、3000メートルも取り組みなさい」と言われてきた。前回14年ソチ五輪落選後も、その教え通り、種目を絞り込まず、多種目をこなしたことで、スピード、持久力が着実に増した。

 前週は短距離エースの小平が日本人女子初の世界スプリント制覇。圧倒的な金メダル候補であることを証明した。今回、高木美も中長距離エースとして、複数種目でメダル候補になった。「日本人でもできるということは証明できた。短距離は(小平)奈緒さんがだいぶ盛り上げているので、中長距離陣も負けじと食らいついて、日本全体で盛り上がっていければいい」。7年前、初々しかった中学生五輪代表が、7年の時を経て、堂々の金メダル候補に浮上した。

 ◆高木美の平昌五輪の見通し 平昌大会からマススタート(集団スタート)が加わり全7種目になるが、高木美は全種目に出場可能な実力を持つ。1000、1500、3000メートル、姉菜那との抜群の連係を誇るマススタート、団体追い抜きの5種目でメダル圏内。1500メートルと団体追い抜きは金メダル候補になる。今大会の500メートルは38秒15とトップスプリンターに劣らないタイムで1位。国内では小平に次ぐレベルに位置する。

 ◆スピードスケート世界選手権 男子は500、1500、5000、1万メートル、女子は500、1500、3000、5000メートルの各4種目の総合得点で競う。1889年、オランダ・アムステルダムで第1回大会が開催された最古の世界大会。