距離のクラシカルが行われ、男子5キロ立位で、上肢障害の新田佳浩(36=日立ソリューションズ)が2位に入り、日本勢として今大会初の表彰台に上がった。

 佐藤圭一(37=エイベックス)が7位、川除大輝(16=日立ソリューションズJSC)が8位。女子5キロ立位は阿部友里香(21=日立ソリューションズ)が6位、女子2・5キロ座位で新田のんの(20=札幌デザイナー学院)が5位。男子5キロ視覚障害の高村和人(34=盛岡視覚支援学校)が5位、女子2・5キロ視覚障害の中島由貴(17=長野県松本盲学校)も5位だった。

 「わずか5キロという非常に短い距離、前半から積極的に飛ばす作戦でスタートしたら、50メートル地点で転倒してしまいました」。レース直後に新田が振り返った。所属する日立ソリューションズの大勢の応援団が声援を送っていたすぐ目の前でのことだった。「コースのイン側を攻めたら、表示のコーンにスキーのトップが引っかかりました」。

 すぐにレースに復帰して、800メートル付近で待機する長濱一年コーチから「すぐ後ろから迫っている選手と同タイム」という情報が得られたことで、落ち着きを取り戻した。急きょエントリーして優勝した、バイアスロン選手として活躍するフランスのベンジャミン・ダビエ(フランス)に、38秒差の2位でゴールした。

 3歳の時の事故で左の肘先を切断。小学生の頃からストック1本でクロスカントリースキーを始めた。同級生らと競って走り回るのが楽しかったという。98年の長野パラリンピックに17歳で初出場し、今では14年ソチ大会まで実に5大会連続出場しているベテランになった。クラシカルは最も得意とする種目で、10年バンクーバー・パラリンピックでは10キロとスプリントで2個の金メダルを獲得したが、14年のソチ大会ではメダルに届かず、「このままでは終われない」と唇をかんだ。

 今季は再び躍進を見せている。2月の世界選手権で銅メダルを獲得して12年ぶりに表彰台に上がり、W杯では直前の平昌大会のクラシカル7・5キロで優勝した。「3月に行われる平昌と札幌(のW杯)で必ず結果を残さなくてはいけなかった。シーズンオフからピークをつくってきました。単年だけではなくソチ以降、4年間の長期計画の上での成果です。長濱コーチとコミュニケーションを図り、手応えを得ながらやってこられました」と語る。

 平昌大会後、慌ただしい移動で札幌入りした。移動疲れを和らげるために札幌市内をランニングした際、長年のライバル、イルッカ・トゥミスト(フィンランド)と並走した。「お互い、年齢も上がってどんなトレーニングをしているのか、彼は最近、家業の牧場の手伝いをしているといった話をしながら。40分程度のつもりが1時間くらい走りました」。

 雪辱の平昌パラリンピックまであと1年。「クラシカルスプリントで最初の金、最終日のクラシカルミドルでもう1つの金」。6大会目に向けた視線の先には、「金メダル」の輝きがある。【宮崎恵理】