文武両道を目指す「柔道界の沙羅ちゃん」こと、女子78キロ超級の朝比奈沙羅(20=東海大)が世界王者の称号を奪う。176センチ、135キロ。どっしりとした体格が貫禄すら漂わせる。今夏の世界選手権代表選考を兼ねる全日本体重別選手権(4月1、2日、福岡)を控え「常に挑戦者の気持ちで1歩ずつ世界選手権に近づきたい。『気持ちは謙虚に、柔道は豪快に』を心掛けています」とキュートな笑みを見せる。

 7歳の時、同じ超級でも男子100キロ超級の鈴木桂治がアテネ五輪決勝でトメノフ(ロシア)を鮮やかな小外刈りで破った試合に感銘を受け、名門の春日柔道クラブへの入門を決意した。2歳上にはベイカー茉秋らがいた。恵まれた体格で小学生の頃から頭角を現し、世界ジュニアなど数々のタイトルを手にした。

 昨年4月の全日本体重別選手権では左足首を骨折。山部佳苗にリオデジャネイロ五輪代表の座を奪われた。けがから復帰後の11月の講道館杯全日本体重別選手権、12月のグランドスラム(GS)東京、今年2月のGSパリと負けなしが続く。「東京五輪までの通過点にすぎない。夢がかなうまで隙は見せない」と気を引き締める。

 父は麻酔科医、母は歯科医という環境で育ち自身も医師を目指す。2つの夢を追う沙羅ちゃんの挑戦は続く。【峯岸佑樹】

 ◆朝比奈沙羅(あさひな・さら)1996年(平8)10月22日、東京都生まれ。7歳で柔道を始める。東京・渋谷教育渋谷高時代にはや14年世界ジュニアなどで優勝。15年に東海大医学部を受験も不合格で体育学部進学。昨年12月のGS東京、今年2月のGSパリ優勝。得意技は払い腰。趣味はヒップホップダンス。176センチ、135キロ。血液型A。