フィギュアスケートソチ五輪金メダリストの羽生結弦(22=ANA)が、引退した浅田真央さん(26)について「挑戦の象徴。ジャンプを跳ぶたびに、真央ちゃんが心の中に生きている」と、その挑戦の姿勢を引き継ぐことを誓った。

 羽生は、10日に浅田さんがブログで引退発表したことを受け、11日午後にコメントを発表していたが、公の場で語るのは初めて。この日、仙台市で行われたフィギュアスケートモニュメント設置式典の後、会見の場で思い出を語った。

 10日夜、浅田さんの引退を知ってから翌日にコメントを発表するまでショックで一睡もできなかったという。「コメントを出す前、気持ちの底から落ち込んでしまって、どういったコメントを出せばいいのか非常に悩みました」。考えた末に、「フィギュアスケートが大好きな浅田選手のスケートが大好きです。これからもずっと私の憧れの人です。たくさんの夢をありがとうございました」などと感謝の言葉をつづっていた。

 羽生にとって、浅田さんとは「挑戦の象徴」だという。「トリプルアクセルもそうですけど、曲に合わせてどれだけ難しいステップ、スピン、ジャンプを入れても、そこに難しさを感じない。そういった点でずっと憧れていました」。高難度の技を入れたプログラムにもかかわらず、それを1つの演技として軽やかに表現する。それは今の羽生の演技に引き継がれている。

 また、羽生の得意技であるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳べるようになったのは「浅田さんのおかげ」。中学2年で参加した08年夏の全日本合宿、浅田さんのジャンプを側で見たことで初めて成功した。「そういった意味では、ずっとずっと自分のジャンプを跳ぶたびに、浅田…、うーん、なんといえば…、真央ちゃんでいいかな、心の中に生きているんだと思います」。最後は“浅田さん”ではなく、自分らしく“真央ちゃん”と呼び、締めくくった。