世界9位の錦織圭(27=日清食品)が、テニス界から永久追放を受けた三橋淳(27)についてショックを口にした。05年16歳以下男子国別対抗戦ジュニア・デビス杯でダブルスを組んだり、ともに代表で戦っただけに、驚きを隠せなかった。初戦の2回戦は同30位のフェレール(スペイン)にストレート勝ち。3回戦で、同34位のデルポトロ(アルゼンチン)と対戦する。 

 それまで試合の話を、柔らかい表情で語っていた錦織の顔が引き締まった。日本テニス界にとって、前代未聞の不祥事となった三橋の件を聞かれると「ショックは大きい」とぽつり。「同じ世界で戦っていたし、友達だったので」と、ともに世界を目指していたライバルの不祥事に、気持ちは落ち込んだ。

 05年ジュニア・デ杯決勝大会で、錦織はダブルス4試合を戦ったが、そのうち3試合を三橋と組み全勝。ともに前年11位だった日本を5位に躍進させた原動力となった。世界を語り合った仲だけに「衝撃だった」と、驚きを隠せなかった。

 ただ「この10年は、全く連絡を取っていない」。世界のトップ10として、日本スポーツ界のヒーローになった錦織に対し、三橋は自己最高の世界ランクが295位。ツアー下部大会が主戦場で、その実力差は広がった。その間に、三橋は八百長などに手を染め、奈落に落ちた。

 錦織は「彼も悪いやつではない。情熱はあるし、純粋。(だから)だまされやすいのかも(しれない)」と思いやった。テニス界から締め出された昔の友人だが、「(人として)更生して戻ってきて欲しい」と、立ち直ることを期待していた。【吉松忠弘】