2人が口をそろえるのは、越えなければならない壁があるからだ。世界ランク1位の「タカマツ」こと高橋、松友組。インドOPに2人は出場していなかった。米元、田中組は決勝で敗れた16年全日本総合選手権など、過去4回対戦して1度も勝っていない。A代表では一緒に練習する。「タカマツ」は五輪後も隙を見せず個々に課題を見いだし、それに向き合う。その姿勢に刺激を受けた。だからこそ、強く意識する。

 米元 (五輪で)金メダルを取っても強い気持ちを感じる。これからの大会ではライバルペア。しっかり勝負しないといけない。

 田中 勝たないと(SSより上の)プレミアとかに優勝はできないと思う。

 高橋、松友組のほかに15年世界選手権3位の福万尚子(25)、与猶くるみ(24)組、4月のマレーシアOPを制した福島由紀(24)、広田彩花(22)組(いずれも再春館製薬所)と、日本の女子複にはライバルが多い。今後も参戦するSSなどで、結果が伴わなければA代表から外される。だが複の層の厚さが競争心を生み、米元、田中組の力をさらに伸ばす可能性がある。

 田中 (B代表に)落とされる恐怖はない。上のレベルで戦えることを意識している。

 米元 ここ(A代表)で勝負していく気持ちが強くなった。

 SS優勝でつかんだ自信は、確信へと変わった。世界ランクは5月11日現在、再び8位をキープしている。北都銀行では、今季もエースダブルスとして11月に開幕するS/Jリーグが控える。

 米元 自分たちがポイント源になること。

 田中 (昨季は6勝1敗で3チーム並び)マッチ率の差で負けた。1セットにこだわっていきたい。それが世界にもつながる。

 日本ユニシス、再春館製薬所などのように、バドミントンだけに専念できない。銀行業務と両立する。

 田中 会社を長い間、空けていてもお花見に誘ってくれるんですよ。

 米元 会社ではたくさんの人から声をかけてもらっている。それは自分たちにとってはプラス。

 仕事をこなしながらの競技生活は、ハンディとは思っていない。行員との絆と温かい応援。2人は感謝の気持ちを常に心に秘める。だから、まだまだ強くなれる。【久野朗】