【ローマ19日=吉松忠弘】男子テニスで世界9位の錦織圭(27=日清食品)が、21日開幕のジュネーブオープン(スイス)に緊急参戦する。イタリア国際では18日の3回戦でリオ五輪銀メダルのデルポトロ(アルゼンチン)に敗退。28日開幕の全仏オープンに向けて赤土での実戦不足を感じ、急きょ出場を決めた。出場エントリーはすでに締め切られていたため、推薦枠での出場となる。

 デルポトロにはストレートで敗れたが、激しい打ち合いを見せた。痛めていた右手首は問題はない。「もう少し勝ちたかった。物足りない。試合数をこなしたい」と、出場を予定していなかったジュネーブオープンの初出場に踏み切った。実は、錦織にとって4大大会前週の試合出場はおきて破りだ。11年全米の前週に出場。全米本番で持病の腰痛を発症し、1回戦で途中棄権した。当時「出なければ良かった」と悔やみ、以降、4大大会の前週は大会に出ずに調整してきた。

 しかし今回は、そうも言っていられない。赤土での実戦はここまで4試合。10年に全仏本戦で初めて戦って以降、前哨戦の試合数としては最少。「ちょっと気にかかる部分がある」。その「部分」については明かさなかったが、修正は実戦でしかできないのだろう。

 不安は3月に再発した右手首の痛み。2週前のマドリードでも準々決勝を棄権した。今週は問題なかったが、試合数が増えれば再発もあり得る。異例の参戦が、吉と出るか凶と出るか。すべては全仏で分かる。

 ◆WOWOW放送予定 ローマから続く赤土シリーズの頂点、全仏オープン・テニス。5月28日~6月11日。連日生中継。