あのサーフィンが、東京五輪を沸かす!? 80年代に社会的なブームとなったサーフィンが、3年後に五輪デビューする。東京五輪を目指すホープたちが競う日本ジュニア選手権(16日開幕、宮崎)を前に、競技の魅力と可能性を3回連載する。初回は元五輪競泳代表の伊藤華英さん(32)が登場。日本初のプロサーファー、ドジ井坂氏(69)の指導を受けて13日、神奈川・茅ケ崎海岸で波に乗った。

 「ひざからくるぶし、オフショア(岸から海へ吹く風)」。波がなく、雨も降る最悪のコンディションだったが、伊藤さんはサーフィンを楽しんだ。12年の引退後、趣味で始めたサーフィン。月1度のペースで波に乗っているという。

 伊藤さん 自然に触れている感じが、いいんです。波に乗って、波と1つになった時は爽快感がありますね。沖に出て波を待っている瞬間も楽しい。仲間と話したり、カウンターでお酒飲んでる感じで(笑い)。

 ドジ氏の指導は、陸トレから始まった。腰や足の位置、ボードの上での立ち方やパドルの方法…。「サーフィンに力はいらない。お年寄りでも子どもでも、誰でも簡単にできる」という同氏の言葉に、伊藤さんは何度もうなずいていた。

 伊藤さん 重心の取り方とか、的確ですね。腰の位置とかも、違った。パドルのやり方も、新しい発見がありました。陸トレでしっかり教えてもらえたのが良かった。すぐにでも海に出たくなりましたね。

 元競泳五輪選手だけあって「さすがの吸収力。言葉を理解して、すぐにできるのはアスリートならではですね」と、ドジ氏は伊藤さんを絶賛した。海に入って1時間、普段はロングボードの伊藤さんが、より難しいショートボードで波に乗り、ボードに立った。

 伊藤さん やっぱりサーフィン楽しい! できないことが1つずつできていく達成感がいいんです。多くの子どもにも、この感じを味わってほしいですね。

 五輪競技となったサーフィン。人気が出ること、競技者が増えることを確信して、伊藤さんはドジ氏と笑顔で握手を交わした。【荻島弘一】

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年(昭60)1月18日、埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ。東京成徳大高-日大-セントラルスポーツ。背泳ぎ選手として同い年で親友の寺川綾とともに活躍した。世界選手権は01年から4大会連続で入賞し、08年北京五輪100メートル8位。10年から自由形に転向し、12年ロンドン五輪に出場した。同年の国体後に引退し、早大学術院-順大大学院。順大の非常勤講師を務めながら、マルチに活躍している。