世界ランキング6位の日本は、同4位で前回大会覇者のブラジルをフルセットの末、3-2で破った。ブラジル相手の勝利は11年11月のW杯以来6年ぶり。中田久美監督(51)の選手起用が的中し、強豪相手に接戦を制した。日本はこれで1次リーグ4勝2敗。次週は21日からの香港大会に臨み、8月に中国で行われる決勝大会進出を目指す。

 現役時代はセッターとして、感性と観察力でスパイカーの良さを引き出した中田監督が、采配でもひらめきで勝負に出た。ブラジルは仙台大会初戦で世界3位のセルビアを下したが、前日タイ戦は完敗。日本戦は負けられない状況に、中田監督はある考えが浮かぶ。「タイに負けたことでブラジルは日本を研究してくるのでは。それならセッターを代えたらどうなるか」。

 オランダ大会は冨永をセッターに起用してきたが、ブラジル戦は佐藤に代えた。セッターが交代すれば攻撃のテンポやパターンも変化する。日本にも対応力が求められるが、ブラジルの混乱も予想できた。

 思惑は的中し、日本は第1、2セットを連取。その後、相手のブロック対応が整い、フルセットになったが、格上相手に接戦に持ち込んだだけでも有効な一手だった。ブラジルのギマラエス監督は「スパイカーへの対応が難しかった」と、当惑したことを認めた。

 前日はセルビアにいいところなく敗れ、戦う姿勢も欠けた。この日、会場でのアップで選手の様子を見た中田監督は「試合をやる前から顔が暗い」と短い言葉で、チームの沈滞ムードにくさびを打ち込んだ。代表監督として国内初陣は2勝1敗。中田新体制は課題も多いが、可能性も見え始めている。【井上真】