金メダルのバトンが託された。来年2月9日の平昌五輪開幕まで、今日24日であと200日。本番が迫る中、金メダル獲得の期待が高まるスピードスケート女子短距離のエース小平奈緒(31=相沢病院)が、98年長野五輪500メートル金メダリストの清水宏保氏(43)と対談を行った。憧れの人から五輪で戦う心得を学び、勝負の年への決意を新たにした。

 対談を熱望していた清水氏の姿を確認すると普段は冷静な小平の表情が一気に華やいだ。日本中を感動に包んだ長野五輪の金メダル。小学5年生の時に感じた憧れは19年たった今も色あせていない。

 小平 宏保さんが表彰台に立った時の、あの雰囲気が何とも言えなかった。日本人がこんな大きな人と戦って勝つ。すごいなって。すごく大きく見えました。

 尊敬する先輩との久々の対面。あいさつを交わし、いすに座ると、思い出があふれ出た。

 小平 新聞のテレビ欄に「清水宏保」っていう字を見つければ、マーカーで線を入れて、忘れないように食卓のマットの下に入れていた。録画も予約だと心配なので、自分でボタンを押すようにしていました。

 清水 ありがとうございます。恥ずかしいけど、うれしいですね(笑い)。

 そんな憧れの清水氏以来となる日本勢の金メダル獲得に挑む、小平。昨季は500メートルでW杯総合優勝を果たし、国内外の15レースを全勝で終えた。五輪で3個のメダルを獲得した清水氏でさえ、その進化に驚かされたという。

 清水 昨シーズンの始めに(小平の)動画を2、3回見返して、これ誰って。直線からコーナーに入るところがすごく変わった。可能性を感じる滑りだったし、シーズンが進むにつれ、どこまでいくんだろうという興味に変わった。

 小平 (以前より)重心を高くしました。ただ上半身を立てるのではなく、膝下の角度を低く、骨盤の角度が入るというか。上半身がオランダ流、下半身は韓国流というイメージです。

 清水 正面から見た時に、頭の位置は上がって、腰の位置はより下がっている。車で例えれば、一般車のエンジンは前にあるが、レーシングカーは後ろ。それが安定性とスピードを生んでいる。結果を出し、技術が確立している選手が、30歳を過ぎてさらに進化するのは簡単なことではない。