20年東京五輪の追加種目でワンツーフィニッシュだ。リード男子で21歳の是永敬一郎が金メダル、20歳の波田悠貴(ともに埼玉県連盟)が銀メダルを獲得した。15年からアジア選手権連覇中の是永は、強豪の北米、欧州勢が出場するW杯や世界選手権などの国際大会で初のタイトル。リードは制限時間内に到達した高さを競う種目で、東京五輪では複数の課題での完登数を競うボルダリング、登る速さを競うスピードを含む3つの複合種目で争われる。

 金メダルを見つめる是永の鼻の下は血でにじんでいた。両手を離して空中に飛び出し、次のホールド(突起物)をつかむ「ランジ」と呼ばれる動きで、顔面を壁に打ちつけたという。「めちゃくちゃ痛かった。名誉の負傷ですね」と笑みを浮かべた。

 クライミングとの出合いは小学5年の時。親に勧められて埼玉・川口市のジムで体験し、とりこになった。日体大進学後は児童スポーツ教育学部に通いながら「めちゃくちゃ多い」と自負する練習量で、武器のスタミナを強化。W杯のリードでは16年7月のスイス大会の2位で初めて表彰台に立ち、今月のフランス大会も2位。日本代表の安井博志ヘッドコーチは「読みが良く、テクニックがある」と身長160センチに秘めた才能を高く評価する。