今回のWGでボルダリングで19歳の緒方、リードで21歳是永が優勝し、日本のスポーツクライミングは競争が激化していく。

 東京五輪ではスピード、ボルダリング、リードの順番で予選を3日間行い、上位6選手で4日目に決勝を戦う。決勝は1日で3種目を行い、選手の疲労度は想像を超える。しかも、まだ五輪方式での国際大会がなく、来夏のユース五輪(アルゼンチン)で初めてこの方式で運営される。各国は自主的に練習会などで強化するしかない。

 世界的には3種目で高い成績を収めているのはカナダのマコール、フランスのマエムら数人。今回のWGに出場したロシアのルブツォフはボルダリングで急成長している。安井ヘッドコーチは「ロシアには何年もかけて蓄積してきたスピード強化のメニューがある」と警戒感を強めている。

 緒方も是永も、3種目のうち2種目で世界トップの力をつけないと、スピードで東欧勢、中国勢に後れを取るだけに厳しい道程が待つ。ボルダリングでは楢崎智、藤井、渡部ら実力者がそろうが、今回のWGを契機に、複合競技としての強化を本格化しなければいけない。【井上真】

<スポーツクライミング3種目>

 ◆リード コース途中にある金具にロープをかけることで安全を確保しながらホールドのついた壁を登り、制限時間内に到達した高さを争う。最も上の金具にロープをかけると完登となる。壁の高さは12メートル以上。

 ◆ボルダリング ホールドが付いた高さ約3~5メートルの壁を登る。複数の課題(コース)に挑んで完登した数を競う。途中で落下しても制限時間内であれば何度でもトライできるが、完登数が同じ場合は完登に要したトライ数の少ない選手が上位。

 ◆スピード ホールドの位置やルートが常に同じな高さ15メートルの壁を登る速さを競う。2人同時にスタートする唯一の対戦形式。