協会の内紛騒ぎで揺れる日本ハンドボールが、大きな後ろ盾を得て20年東京五輪を目指す。日本協会は25日、都内で会見を開き、日韓戦(29日、東京・駒沢体育館)の日本代表メンバーと、ヤマト運輸と20年12月までの大型スポンサー契約を発表した。役員人事などでもめ、強化への影響も不安視される中、男女の代表が新たなスタートを切る。

 同社は、ハンドボールの和名「送球」が宅急便のイメージと重なることから協賛を決めたと説明した。同社とCM契約するTOKIOの国分太一(42)も出席し、「全力で応援していきたい」と“特別サポーター”に就任した。関係者数十人が取り囲むハンドボール界では過去にないド派手な会見。新ユニホームの胸には「クロネコ」のイラスト。「チームとファンを1つに」の願いを込めた背中の1本線は1つになれない協会への皮肉にも思えるが、契約が強力な後押しになるのは間違いない。

 197センチ、112キロと男子代表史上最も恵まれた体格を誇る玉川裕康(22=国士舘大)は「着た感じもいいですね。韓国戦は初めてだし、楽しみです」と話した。男子で初の高校生代表の部井久(べいぐ)アダム勇樹(18=福岡・博多高)が選ばれ、ベテランの宮崎大輔(36=大崎電気)も復帰。内紛騒ぎをよそに、満員の駒沢で東京五輪に向けて出発する。【荻島弘一】

 ▼人事を巡って紛糾する日本協会は、30日に臨時理事会を開いて事態の収束を目指す。渡辺会長が、蒲生副会長兼専務理事にコンプライアンス違反があったとして解任を要求。この日の会見には協会2トップが異例の欠席で、多田副会長は「早く解決したい。日韓戦後に早急にやる」と話した。第三者委員会による調査にも、協会内に「不十分」という声もある。日韓戦をはじめ代表や各世代の大会が続く7、8月に「協会不在」という最悪な事態になる。