ハンガリーGPが開催されたハンガロリンクで8月2日、F1の合同テスト2日目が行われ、松下信治(23)がザウバーから出走し、121周を踏破した。

 マシン本来のパフォーマンスやテストプログラムのため、自己ベストタイム1分21秒998はトップのセバスチャン・フェッテル(フェラーリ)から4秒874遅れで全13台中最下位に終わった。それでも松下は初めて体験するF1マシンに、興奮冷めやらぬ表情で喜びを語った。

 「F1マシンは本当に楽しかったです。F2に比べるとダウンフォースがあってクルマが安定していてあり得ないくらいグリップが高いし、縁石もたくさん使えるし、踏めば踏んだだけ攻めていける感じ。最初はタイヤの扱いにも少し苦労しましたけど、少しずつ良くなって行きました」

 多くのドライバーがウルトラソフトタイヤを使って3~5周のランで軽い燃料でタイムアタックをしてベストタイムを記録したのに対し、ザウバーはテスト重視で10~15周のランに徹した。そのためマシンの限界を探るチャンスはなかったが、それでもこの経験が自分のキャリアに生きるはずだと松下は語る。

 「ずっと燃料をたくさん積んで長いランをしていたので、プッシュするのではなく安定したタイムを刻むことを念頭に置いて走りましたし、(タイムアタックの)パフォーマンスランをやっていないので高速コーナーでマシンの限界まで攻めるような走りをするチャンスがなかったのは残念です。それでもレーシングドライバーとして新しい世界を経験できたことは大きな成長の材料になると思います」

 松下が参戦するFIA F2選手権はF1と同様にこれから夏休みを挟み、8月25日からのスパ・フランコルシャン(ベルギー)で後半戦がスタートする。今回のF1テストを機に、スーパーライセンス取得に必要とされるランキング3位を目指して弾みをつけたいところだ。

(米家峰起通信員)