66キロ級で米沢凌(秋田商3年)が基山仁太郎(三重・いなべ総合学園3年)をポイント2-1で下し、初優勝を決めた。開始2分で先制攻撃を仕掛け2ポイントを奪うと、16年世界カデット選手権3位のライバルを封じ込んだ。同大会を14年に制したOBの兄圭(早大)に続く兄弟制覇の快挙を成し遂げた。

 米沢が名前のごとく「凌(しの)いだ」。2-1で迎えた残り5秒。土壇場で相手にホールドを許すると、体を限界までのけ反らせ必死にもがいた。回り落ちれば逆転される場面を耐えしのぐと、マットから飛び起き、両手を突き上げ歓喜を爆発させた。金メダルを手にすると「高校生活で一番取りたかったタイトル。先に攻めて1点を守りきることができた。お互いに手の内を知り尽くしている中でタックルからポイントを奪えたのが大きい」と振り返った。

 開始2分。秋田商のお家芸でもあるタックルで左足を奪うと、テイクダウンから2ポイントを奪った。第2ピリオドに場外に押し出され1ポイントを失ったが最後まで攻撃の手を緩めなかった。96年アトランタ、04年アテネと2度の五輪出場を果たした横山秀和監督(46)は「終始積極的に攻めた結果。ポイントにならなくても相手に重圧を与え続けたことが大きかった。兄が優勝した高校総体にかける強い思いがあったと思う」と勝因を口にした。

 東京生まれだが、同校で高校総体優勝を果たした兄の背中を追って名門・秋田商レスリング部の門をたたいた。大会直前には兄が所属する早大の合宿に参加。65キロ級で大学2冠、17年全日本選手権2位の実力を誇る兄の下で「タックルのバリエーション」に磨きをかけてきた。「あこがれの兄のようになれると信じてやってきた。国体までにレベルアップして2冠を目指したい」。兄弟制覇を成し遂げた米沢がさらなる高みを目指す。【下田雄一】

 ◆米沢凌(よねざわ・りょう)1999年(平11)5月20日、東京都生まれ。5歳のとき高田延彦氏が主宰する高田道場キッズでレスリングを始める。AACCクラブで全国小学生大会優勝。17年高校選抜3位。得意技は片足タックルからのアンクルホールド。173センチ、69キロ。家族は母、兄。血液型A。